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「メディアの課題に日米の違いはない」レコメンデーションを収益機会に変えるアウトブレインCEOインタビュー

コンテンツガイドラインの厳正化

先日開催されたネイティブ広告についてのパネルディスカッションで、アウトブレイン ジャパン社長の嶋瀬さんが「ユーザーの信頼を勝ち得ることが重要」と何度もおっしゃっていたのが印象的でした。

ヤロン メディアがネイティブ広告を推進するうえで必要なユーザーを確保する部分、私達はここに価値を提供しているわけなのですが、そこで重視しているのがコンテンツガイドラインです。ユーザーにとって本当に有益な内容であるかを判断し、レコメンデーションの質を高めるために、その整備に非常に力を入れています。

 米国ではIABFTC、英国ではASAといった機関とともにコンテンツガイドラインを整備してきましたが、この業界でここまで厳しいガイドラインを用意しているのは、アウトブレインだけではないかと思います。

ガイドラインを見ると、SEO目的のコンテンツ、文法ミス、粗悪なデザインといったものも含めて、トーン&マナーの基準に沿わないと判断した場合、コンテンツが拒否されるとありますね。

ヤロン ガイドラインのベースになっているのが、私たちのビジネスにおける共通の通貨、「読者の信頼」です。短期的な収益のためにユーザーの信頼を利用することへの誘惑もありますが、アウトブレインは最初から長期的にユーザーとの信頼関係を築いていくために、読者の信頼を最重要視してきたのです。

アウトブレインジャパン株式会社社長嶋瀬宏氏
アウトブレインジャパン株式会社 社長
嶋瀬 宏氏

嶋瀬 コンテンツガイドラインを厳正化した当初は、申請されたコンテンツの約半数をお断りしていました。しかし、ネイティブ広告のあるべき姿を広告主や代理店を含めた関係者が知ることによって、この数字も下がっていくと考えています。

コンテンツは誰のものか

日本では現在キュレーションサービスの分野で、Gunosy、SmartNews、Antennaといったサービスが次々と生まれて人気を集めています。また、こうしたサービスは日本だけでなく海外進出も視野に入れています。アウトブレインはこうしたサービスをどのように見ているのでしょうか。

ヤロン 最初にちょっと確認なのですが、これらのサービスはリンクだけではなくて、コンテンツ自体を載せているんですよね?

掲載している分量は違いますが、コンテンツの冒頭部分を載せて、続きは元のメディアサイトで見るというかたちをとっているものもあります。

ヤロン 私たちの根本的な思想として、コンテンツというのはそれを作ったメディアの持ち物であって、それがどのように表示され、その収益が必ずメディアにもたらされるかが非常に重要だと思っています。

アウトブレインのテキストリンクの例
アウトブレインのテキストリンクの例

そうしたキュレーションサービスは、非常にヴィジュアルを重視しています。スマートフォンの画面で見たとき、きれいな写真が大きく表示されると、そこに引き付けられるユーザーは多い。アウトブレインもこうした取り組みを行おうとしているのでしょうか。

ヤロン 先ほどの繰り返しになるんですが、私たちはあくまでもメディアへのリンクの提供というかたちをとっていて、画像はメディアサイトのコンテンツにある画像を縮小し、サムネイルとして使っています。私たちはメディアの知的財産を尊重し、イメージの使い方、表示については、必ずメディアの権利に配慮しながら行っています。

 欧米を含めて、モバイルのマネタイゼーションはデスクトップよりも高い。FacebookやTwitterだけでなく、アウトブレインでも、モバイルでの収益のほうが収益性が高くなってきています。これは、モバイルがより良いユーザー体験を与えているからだと考えられます。

 その一方で、モバイルは画面のピクセル数に限界がある。そのなかでいかにユーザーにとって邪魔にならないかたちで情報を表示していくかが重要になってくると思います。

動画コンテンツにも対応

動画についてはどうでしょうか。

ヤロン アウトブレインは動画に対してさまざまな技術的投資を行っています。私たちのアルゴリズムは静的なコンテンツでも動的なコンテンツでも機能することが可能です。たとえば私はあまり動画を見ないとします。実際、静的なコンテンツを読む傾向が高いのですが、その場合、私に対してはレコメンデーションであまり動画を表示しない。そのユーザーの趣味嗜好によって、コンテンツを出し分けることができるのです。

アミット アウトブレインのサービスは、CNN、FOX News、ABCなど、動画コンテンツに非常に強いメディアにも導入されています。BrightcoveやKalturaといった動画プレイヤー、もしくはメディアが開発したネイティブな動画プレイヤーも、APIを通じて私たちのソリューションを利用することが可能となっています。

日本市場の可能性

日本のメディアは日本語のコンテンツが主体です。日本市場の可能性についてはどう見ていますか?

ヤロン アウトブレインが対応している言語は30以上、拠点を置いている国は10か国あります。ネットユーザーは、すでになんらかの情報を持っていてそれを調べたいときにウェブで検索します。しかし、何か特定の目的がないときは、ブラウジングによって情報を得てネットサーフィンしていくのが一般的だと思います。

 私たちのコンテンツディスカバリー・プラットフォームは、後者において必須のもの。日本語という枠はありますが、マーケット自体は非常に果てしなく大きなものだと思っています。

嶋瀬 じつは日本の市場性というのは、国内でのレコメンデーションだけではないんです。たとえば日本の自動車メーカーが海外で情報発信をするときに、アウトブレイン ジャパンに発注いただくこともあり、そのマーケットも非常に大きいと感じています。

 昨年会社を立ち上げ、国内のさまざまなメディアと交渉を続けるなかで、現在ではクライアントが求めるリーチに応えられるだけのネットワークを形成しつつあります。これから引き続きメディアネットワークの構築を急ぐとともに、クライアントにおけるネイティブ広告の啓蒙活動にも力を入れていきたいと考えています。

ヤロン 日本市場は非常にエキサイティングな市場だと思っています。最新の優れたテクノロジーによって、メディアに収益の機会を提供し、ユーザーには体験の向上を提供することで、Win-Win-Winの関係を構築できればと考えています。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/08/19 10:00 https://markezine.jp/article/detail/20688

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