ウエディング業界こそ、ピンポイントな情報が必要
WeddingとAdtechを合わせて名付けられたWedTech 推進室は、結婚準備クチコミ情報サイト「Wedding Park」などを運営するウエディングパーク社が7月に設立した部署。ここではブライダル業界初となる、アドテクノロジーを活用した広告商品開発を行っている。同部署には現在5人のメンバーが所属し、3か月に1回のコンペで広告の商品アイディアを出し合っており、現在はWedding Parkリターゲティングと、リスティング広告を使ったWP(ウエパ)サーチプラスという商品を開発・販売している。
WedTech 推進室設立には2つの背景があるという。「ひとつは、これまでのモデルとは異なった手法をとることで、業界の中で新しい立ち位置を作りたい、という考えがありました」部署を立ち上げた大竹氏は語る。ウエディング業界で広告といえば雑誌への出稿が多く、Web施策といってもウエディング情報サイトの広告枠への掲載や、タイアップ記事の掲載が一般的だという。一部の式場ではリスティング広告やリターゲティング広告を行っているが、都市圏の一部なのが現状だ。同社も例に漏れず、自社メディアに広告枠を作って売るという基本モデルをとっていた。「媒体側は広告枠を自分で作るし、逆に代理店は販売だけをします。私たちもこれまで自社媒体の広告枠だけを作ってきました。だから、その真ん中に当たる、ネット広告を仕入れて自社用にカスタマイズをしてコラボレーションしたような商品を作ることができないかと考えました」
「もうひとつは、もっとピンポイントで的確な情報の提供が必要だと考えていました」と大竹氏。一口に結婚式といっても、ニーズは非常に多様だ。レストランやホテル、和装や洋装など様々な選択肢がある。また、結婚式は非常に高い買い物となるため、挙式を考えている人々は情報収集に熱心だという。「結婚を考えているお客様は自分に合ったピンポイントの情報を求めています。だからアドテクによって、その実現ができるのではないかと考えました」
このような思いのもと、約1年半の準備期間を経て設立されたのがWedTech 推進室というわけだ。
クライアントと一緒に品質改善
「準備中には様々なトライアンドエラーを通して商品の品質を上げていきました」大竹氏は語る。商品の価格帯やエリアのセグメントをどう設定すれば確実で安定した供給ができるかなど、試行錯誤を通して具体的な数値を見つけた。その際には、実際に結婚式場に意見を聞くこともしたという。「2013年4月には一部のクライアント様にテスト利用というかたちで一緒に取り組みをしてもらいました。現場の声を聴きながら商品をブラッシュアップしていった感じです」と大竹氏。各商品は1週間スパンで数値を見ながらPDCAを回したという。
そのようなテストの中で大竹氏が痛感したのが、エリアの重要性だ。「例えば、北海道の人が情報を調べているときに東京の式場の広告が出てきたら、冷めてしまう。しかもそれが自分の希望にピッタリだとしたら、とても大きなジレンマになってしまいますよね」と大竹氏。