話題のOptimizelyが上陸
シリコンバレーで生まれたA/Bテストツール「Optimizely」をご存知だろうか。Optimizelyは、異なる2パターンのクリエイティブを用意し、ユーザーにアクセスさせて効果を比較するテストツールだ(参考記事)。
アメリカでは既にスタンダードなツールとなっているが、日本での認知度はまだまだでWebに注力している一部の企業が活用をはじめている状況だ。
今回はOptimizely本社からGlobal Sales部門 担当本部長のTravis氏が急遽来日。大々的な告知を行っていないにも関わらず、キャンセル待ちが90人以上となる反響で、期待の高さが伺われる。その熱気はセミナー後の親睦会まで続き、いたるところで情報交換が行なわれた。
「92対1」…アンバランスな予算比率
セミナーのトップバッターはOptimizely社の日本担当Nick Benavides氏が登壇し現状について語った。
突然だが、「92対1」というアンバランスな比率が何を指しているのかおわかりになるだろうか?
これは企業が集客のために使う広告費が92に対して、1しかWebをカイゼンするためのお金をかけてないという今日の現状を指しているという。「一般的には、企業は集客に予算をかけすぎているためWebの改善に対する予算が少ない傾向だ。しかし、どれだけ人が集まってもコンバージョンしなくては意味がない。このアンバランスな比率を正していく必要がある」(Nick氏)
米国での事例紹介
続いてNick氏はいくつかの事例を紹介した。その中で、興味深い事例を2つ紹介しよう。
Facebookユーザーが764%増!
764%増は異常な数字だ。この数字を叩き出したのがアメリカの大手スポーツメディア「bleacher Report」。検索エンジンから多くのユーザーを獲得していた「bleacher Report」だが、SNSでのユーザー獲得に伸び悩んでいた。そこで彼らはOptimizelyの「A/Bテスト」を使いFacebookのユーザーを増やそうと考えた。
早速Optimizelyは仮説を立て、ページ全面に押し出されたSNSボタンを、目立たないページの右下に設置したほうが良いというシナリオを立てた。仮説をもとにA/Bテストで比較検証したところ、目立たない位置にSNSボタンを設置したほうがFacebookユーザーが増えるという確証を得てWebをカイゼンしたところ、最終的にFacebookユーザー764%増を達成した。
IPアドレスでターゲットを絞る
「A/Bテスト」はターゲットを絞る事で思わぬ効果を発揮する。IPアドレスでターゲットを絞り、123%増のコンテンツエンゲージメントを達成したのが機密文章の情報抹消を専門にしている「Iron Mountain」だ。
機密文章の情報抹消というとIT企業を思い浮かべる方も多いと思う。しかし、Optimizelyは医療関連会社をターゲットに絞った方が良いのではないかと仮説を立て、IPアドレスからフィルターをかけA/Bテストを実施。
結果、123%増のコンテンツエンゲージメント向上を実現させた。その他、広告から流入したユーザーを対象にA/Bテストを実施したケースなど、アメリカでは積極的にA/Bテストに取り組む風潮があることがわかった。