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未来を「つくる」天才を育てる学校“BAPA”に迫る

ユーザー目線とチームワークが鍵、最下位からトップへと大躍進したBAPA2期生の「考え方」


世に出た時に「みんなが分かる」ことが大切

――水落さんからのお話からは、堀さんはご自身の能力を発揮されたように伺えます。反対に、BAPAで学べた部分はありますか?

堀氏:チーム内にエンジニアがいると早いことですね。薄々感じていたことですが、実感したと言いますか。「できる・できない」をその場で聞いて判断できるのでスピード感が違いますね。

 あとは水落さんも触れていますが、お客さんが喜ぶこと、ユーザーに合わせることの重要性を感じる半面で、自分の持っている感覚や視点と、世間のそれとのズレも痛感しました。公開授業までは最初に自分たちが、これが未来、みたいなラインを勝手に引いていたんです。けれど、そうではなくて、世の中に出したときに「みんなが分かるもの」と考えるとラインが変わってくる。

 最新技術もお金も全部投入して、本当にすごいもの、それこそ以前のiPhoneをつくるレベルまでいけば話は別ですが、そこまでできないのであれば、相手に合わせたラインで考えなければ伝わらないと感じましたね。これまでも、ユーザー目線という言葉は意識していましたが、自分の「文脈を複雑化しすぎる」というクセがわかり、いい意味で、視線を合わせにいく感覚を学ぶことができた気がします。

水落氏:視線を合わせるという部分はチーム内でも言えますよね。チームで当然、意見の衝突が起きますが、そこで感情的にならずに論理的に説明をし合って、相手の意見が良いと思ったら柔軟にそちらに進む。そんな、「よりよい作品を目指すためにみんなが率直に意見を出せる関係をつくること」の大切さを、制作を通して感じました。

堀氏:あとは、諦めないことでしょうか。最後までクオリティを上げ続けることが、本当のプロの仕事だと思いますが、その片鱗が取り組みの中で感じられました。冷静になりつつも最後までクオリティを詰めて、チーム全員でいいものをつくろうという雰囲気にできたことが、一番良かったんじゃないかと思います。

水落氏:それこそ、発表直前までコーディングしていましたからね。普通のクライアントワークだと多分、ありえないですよね(笑)。でも、当日のデモで大きなスクリーンに投影したら、制作中には気付けなかったことや、狙い通りの表現になっていない部分が結構あったんです。アングルが変わると結構目が回るとか、思っていた色と違うとか、パーツが小さすぎてわからないとか。

堀氏:現場に来ると、本当に違うんです。予想より映像の盛り上がりに欠けるというか。最後に表示するシンクロ率も、元々は折れ線グラフを見せる予定でしたが、ライブ会場が研究発表になりそうだったので別の表現に変えたりもしました(笑)。

現状に切り込みを掛けたい、人をつなぐハブになりたい

――色々な試行錯誤をされたのですね。最後にBAPAを受けてから抱かれた今後の目標を教えていただけますか。

水落氏:僕は現職ではカメラをつくっているのですが、別にカメラをつくることがゴールではないんです。僕らが本当にやりたいことは「映像体験を通して感動を届けること」です。けれど、その目的が徐々に失われている気がするんです。

 現在、技術をもってお客さんのエモーションを掻き立てているのは、広告代理店などが得意なイメージがありませんか? 機器メーカーが置いてきぼりになっていると言いますか。そういうところに乗り込めていないことが、すごく悔しい。

 ハードウェアの会社だからこそ創出できる感動も、たくさんあると思うんです。コンテンツ業界に「映像や体験で感動させるのはうちの仕事なんだ」と殴りこんでいきたいというのが僕の野望です。将来的に自社で技術を軸にしたアートワークであったり、新規事業であったりを行なえればと思っています。

堀氏:私は元々、個人的にライブのインタラクティブ演出活動をしていたのですが、BAPAの取り組みを通して、デジタル技術の活用の場としてエンタメの方向は合っているんだと実感をしました。そういう仕事を名指しで受けられるような場所や人になりたいと、個人的な野望として思っています。実際、BAPAが縁でチームのメンバーが今やっている活動の方にも参加してくれるなど、新たな動きをすることができています。

 また、今回300人が参加するライブ演出という貴重な体験ができたのですが、イベントに限らず、人が集まって何かをする場をつくれるようになりたいですね。そして、様々な分野の人が集まったチームが持つパワーの大きさを今回学べました。代理店の人間としては、自分一人でつくれるものが少ない分、ハブになって色々な人をつなぐ。何かを起こす土台づくりを担えるプロになりたいと思います。

――今回の結果はチーム個々人の能力の高さもさることながら、チームワークの賜物だと感じました。お二人はじめ、BAPAのみなさんが今後どのような未来をつくっていくのか、とてもワクワクします。本日はありがとうございました。

 2015年4月にBAPAの校長を務める朴正義氏へのインタビューから始まり、講師、1期生、2期生と異なる視点を通してBAPAの取り組みを追う本連載(他の記事はこちら)。丁度2014年の2月頃に朴氏が語った「専門外のところにもコミットできる人間になる、勇気あるクリエイターを増やすことが、BAPAでの目的」という言葉が今でも印象に残っています。今回取材を行った水落さん・堀さんの話を聞き、HチームはBAPAの志向を具体的に示す良例だと感じました。
 確実に、未来をつくる天才を輩出しているBAPA。今後はどのような展開があるのでしょうか? どうやら2月26日に開催される「SENSORS IGNITION 2016」というイベントで発表があるようです。IGNITION=発火装置が作動すると、いったい何が起きるのか。今から楽しみですね。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/02/17 12:57 https://markezine.jp/article/detail/23284

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