SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

アドフラウド対策最前線

そのインプレッションに価値はあるのか?先行く米国で根付く「ターゲットリーチ」という新たな指標

「ターゲットリーチ」の追求で、ROIが6倍に改善/ケロッグ社事例

男澤:ここで一つ、「ターゲットリーチ」を追求することで、どれほど広告費用対効果の改善を実現できるのか、わかりやすい海外事例を紹介します。グローバル規模でビジネスを展開するケロッグ社です。キャンペーン配信中の最適化でメリットを生み出すのに成功しました。ケロッグ社では弊社のアドベリフィケーションツールを活用して、デジタルキャンペーンのモニタリングを行い、メディアとメディアの枠、クリエイティブ別にインプレッションのターゲット到達率などを計測しました。

小林:分析項目にインプレッションのターゲット到達率(ターゲットリーチ)があるとは……。日本と全然違いますね。表内のデータから読み解くと、2はそれほどいい結果ではありません。広告主がターゲットとするユーザーをあまり含有しないメディアということですね。

 インビュー率(viewable)で見ると2は高い数値ですが、3は2よりも低く、3割ほどがインビューではない、すなわちビューアブルな枠ではないとわかります。1は認知度を上げるのに貢献していますが、2と3はあまり変化が見られません。

 こちらが「1インプレッションあたりのコスト」を導き出したレポートであるのに対し、日本ではインプレッションよりクリックやアクションばかりが、指標として注視されます。米国と日本はメジャメントへの意識の違いで、大きく開いてしまったのではないかと感じます。

男澤:このような改善を積み重ねていくことで大きな成果にたどり着くことが出来ます。弊社のデータを活用して配信中の最適化を行ったケロッグの2つのブランド(商品)について、マーケティング・ミックスのモデリング結果を見ると、デジタル広告のROIが5倍および6倍に改善していることがわかります。ビューアビリティのみに関連した結果として、ケロッグはキャンペーンのビューアビリティ率を40%改善することで売上を75%伸ばすことに成功しました。

男澤:ちなみに、補足しておくと、ケロッグのデータにボットなどによるトラフィック、いわゆるロボットであるトラフィックは含まれていません。これは当然で、米国ではノンヒューマントラフィックが排除されていないと有効ではない、とされます。日本はまだまだその手前にある。

小林:あたりまえのような話ですが、正しいデータを用いて、正しい分析をすることが今後ますます重要性を増してくると思います。「なにをもって正しいか」の検証はキーワードですね。もし仮にノンヒューマントラフィックを含んだまま分析していたら、まったく異なるアウトプットになっているはずですから。

「価値あるインプレッション」という新たな指標の重要性

小林:日本は未だデジタルの確かな指標を作れておらず、皆で変えていく必要があります。広告が正しいターゲットに届くだけで、後々評価が大きく好転するのは海外事例からも明らかです。広告主側にはアクション中心の指標の前に、「価値あるインプレッション=ターゲットリーチ」という指標を大事にすること、プラットフォーマー側には広告主の要望に応えられる配信を行うこと、今後も私たちはこれらを伝え続けていきます。

 今回はアドフラウドの対策として実例を用いてアドベリフィケーションの重要さを伝えてきましたが、「ターゲットリーチ」を深掘りすると、避けられない議論として「なにゆえにそれが正しいターゲットリーチ」と言えるのか、という話になっていきます。これについては、また次回、「データクオリティ」をテーマにした回でお話していきます。お楽しみに!

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
アドフラウド対策最前線連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

男澤 洋二(オトコザワヨウジ)

RJRナビスコグループのRJレイノルズでキャメル、セーラムなどグローバルブランドマーケティングを担当。ダウケミカルの消費財部門ダウブランズでは、日本のブランドマネジメントからビジネスを統括。日本市場以外、北米、欧州、アジアにおけるブランドマネージメント、グローバルチームでの新製品の開発を担当。ITC分野ではマカフィ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小林 秀次(コバヤシ シュウジ)

Supership株式会社 データマーケティング事業部長。2000年から通信販売カタログ雑誌の編集業務を経験。その後2004年から同カタログのオンラインショッピング事業に従事。Yahoo!ショッピング、楽天市場、自社サイトの運営責任者を担当。2006年1月にオールアバウト入社。オンラインショッピング事業部門のマーケ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2016/01/26 00:10 https://markezine.jp/article/detail/23765

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング