プロの体験談から知る、各サービスの特徴と違い
── 具体的に現在お使いのサービスと、その特徴を教えて下さい
ここから先は、私がこれまでいろいろと運用をしてきた体験談という前提でお話させてください。
Yahooディスプレイアドネットワーク (YDN)
一番の特徴は、もちろんYahoo! JAPAN本体の広告枠に出せるということです。一方で、Yahoo JAPAN内の配信面とそれ以外にネットワークしている配信面でのパフォーマンス差が大きく、運用する際は注意しないといけません。場合によっては、Yahoo! JAPAN内の配信面とそれ以外の配信面でキャンペーンを分けて、コントロールすることもあります。
また、運用する立場から申し上げると、管理画面が若干イマイチかと思います。たとえば、「前月」や「今月」「今週」などあらかじめ決められた期間でしかレポートが見れず、何日から何日と日付を任意で指定してレポートを見ることができません。
もちろん、一度広い範囲でレポートを落としてきて、エクセルなどで加工すればデータは見れるのですが、ちょっと手間がかかってしまいます。もう少しレポートが使いやすいと助かります。
Google Adwords (GDN)
とにかく色々なデータが透明性高く把握できること、そして世界最大の配信面、使いやすいUI、素晴らしいと思います。Google Analyticsと連携して、自由度の高いリターゲティングセグメントを作成できる点もありがたいです。現在利用していて、とくに大きな問題点や課題点は思いつきません。とくにデータ面の機能は豊富です。
DoubleClick Bid Manager
GDNと同様に、非常に使い勝手の良いDSPだと思います。最近はGDNでもできるようになったのですが、昔は視認範囲のCPMで入札(vCPM)できる数少ないDSPでした。
ただ1点不満を言うと、クリエイティブの大量入稿がすごくめんどくさい点です。セグメントが10個あって、それぞれに10個のクリエイティブを、別々のURLで入れようとすると、10×10で100回管理画面から入稿しないといけないんです(バルクシートやエディターでの入稿が不可)。
実は使い始めた当時「まさかできないわけはないだろう」と問い合わせをしたことがあったのですが、グーグルの方に聞いてもできないとのことで、ここは早く改善をお願いしたいところです。
ScaleOut
大きな特徴は、au(KDDI)のデータが使えるところです。またインプレッション時にCookieを付与して、そのユーザーに対しリターゲティング配信もできるので、例えば、auのデータで東京都に居住している30代男性に初回配信をして、インプレッションリターゲティングを使ってそのユーザーへのフリークエンシーを厚めにするということも可能です。
そして、レポートデータもかなり細かく見ることができます。サーチターゲティングのデータはターゲティング設定したキーワードとそのキーワードがトリガーになって配信されたユーザーの実際の検索クエリが出るので、その検索クエリをサーチ(リスティング)に活かせるので重宝しています。
また、配信ドメインとSSPを見れるのも嬉しいです。たとえばAというサイトに配信した場合、多くのDSPの場合、「サイトAに配信しました」、もしくは「SSP Bに配信しました」しか出てこないのですが、ScaleOutの管理画面には、DoubleClick経由でサイトAに配信したレポートと、たとえばfluctさん経由でサイトAの同じ枠に配信したレポートが別々に出てきます。同じ枠でも事業者の経路によって効果が異なることがあるので、このデータは助かります。
Logicad
リターゲティング案件でCPAを合わせながらボリュームも取りたい場合によく利用します。珍しい機能として、クリックのフリークエンシーがあります。インプレッションでフリークエンシーがかけられるように、クリック数でフリークエンシーをかけることができます。この機能を使うことで、たとえば一度クリックして離脱したユーザーには、その日は出さないといったことが実現できます。
CRITEO
多商品のCPA案件なら素晴らしいパフォーマンスを発揮してもらえるのでテッパンです。通常、CPAを合わせるとボリュームが減ってしまうのですが、CRITEOはボリュームを出しながら目標CPAを達成できるのですごいと思います。
注意点は、期間指定で均等配信が出来ないので、たとえば100万円の予算を1ヶ月で設定して、それが2週間で終わってしまうことがありえるということです。目標CPAを達成していればすぐに予算増額できる大手のクライアント様なら問題は無いのですが、予算があまりない中小のクライアント様の場合、次の月まで止めざるを得ないということになります。そして停止期間が2週間を超えると再度タグやフィードのチェックからスタートしなければならないので、その辺りを事前に考慮しないといけません。
YahooプレミアムDSP
Yahoo JAPANのデータをかなり細かく使うことができるので、他のDSPなどで保持していないようなオーディエンスに配信したい場合に使用しています。例えば「韓国旅行にこれから行くユーザー」に配信したいという場合に「Yahoo JAPANから旅行会社の韓国旅行ページに遷移したユーザー」といったセグメントに配信を行ったことがあります。
nex8
人材系や教育系のお客様の案件で、獲得効率がよいので重宝しています。実はDSPはリターゲティング配信をすると、DSPの計測とアドエビスのような効果測定ツールの計測がかなりずれるのですが、nex8はこの数字のずれがあまりないんです。
これは、他のDSPと配信面のかぶりがあまりないということだと思います。実際にレポートを見ても、あまり他のDSPで見ないようなメディアさんに多く配信されているようでした。この配信面の独自性によって、獲得効率よく数が取れているのだと思います。
Twitter Ads(非DSP)
リターゲティング以外でリーチを伸ばしたい場合に利用しています。そもそも、リタゲ以外のディスプレイ広告(DSP)が、どんなにターゲティング技術が進んでもサーチに比べてCPAを合わせにくいのは、いつ興味を持ったのかがわからないからだと思っています。
リタゲの場合、マーク付与からリーセンシーが切れるので情報鮮度のコントロールができるのですが、その他のディスプレイ広告の場合は、そのセグメントにそのユーザーがいつ属したのかがわかりません。例えば、あるDSPでそのユーザーが旅行に興味があるユーザーと判別された場合、その判断材料は昨日かもしれませんし、1ヶ月前かもしれません。
Twitter Adsの場合、「ツイート」などをセグメントに使用できるため、かなりフレッシュな情報を利用できます。その情報の鮮度がTwitter Adsの強さだと思います。
Facebook広告(非DSP)
ターゲティングを細かく設定できるがFacebook広告の強みだと思っている方も多いと思いますが、あまりFacebook広告でターゲティングを細かく設定することはありません。むしろターゲティングは「類似ユーザー配信」だけを使用し、クリエイティブによるパフォーマンスへの影響がディスプレイ広告以上に大きいので、運用としてはクリエイティブの改善に時間を使っています。その方法で非常に効果よく配信できています。