法律、医療、知財……グローバルでAIエンジンを展開
MarkeZine編集部(以下、MZ):マーケティング領域でも毎年さまざまなバズワードが生まれていますが、今年はすでに人工知能(以下、AI)がそのひとつになりそうな兆しです。
斎藤:そうですね。私も、企業のマーケティング担当の方から「AIで何かしたい、何ができるのか?」というご相談を受けることが非常に増えています。
MZ:そうなんですね。Rappaは2015年に設立された新しい会社ですが、すでにAI活用の実績が厚いUBICの傘下とのことで、まずは両社について事業内容をうかがえますか?
斎藤:UBIC自体は2003年、法律分野での訴訟支援事業を軸に創業して以来、他社に先駆けていち早くAIを活用することにより事業を成長させてきました。弁護士などの専門家が、膨大な文書データやメールなどから証拠を検出するお手伝いを、独自のAIエンジン「KIBIT(キビット)」によって行っているんです。元々米国をベースに事業を拡大し、現在はアジアと欧州を含めてグローバルでソリューションを提供しています。
領域としては法律に加え、医療や知財にも進出しています。たとえば、医師が行う電子カルテの確認作業をAIが肩代わりするなど、「専門家の作業や判断を助ける」という方向で発展してきました。その中で、Rappaはデジタルマーケティングの領域で、Web解析などを通して、専門家であるマーケターのサポートを行っています。
テキスト解析から人の機微を理解する「KIBIT」
MZ:法律や医療、知財の領域では、すでに多くの活用実績があるのですね。文書データやメール、電子カルテというと、具体的にはテキストの解析を行っているということでしょうか?
斎藤:そうですね。AIにもいろいろな種類があります。たとえば、ディープラーニングという言葉を聞かれたことがあるかもしれませんが、こちらは画像やより複雑な構造を持つ情報を覚え、解析していくアルゴリズムで、私たちの強みとする技術とはまた異なります。
私たちのAI、「KIBIT」が得意としているのは、テキスト(自然言語)の解析です。音声や、今こうして会話している内容も、テキストに落とし込めば解析対象にすることができます。
MZ:なぜ、子会社を設立してマーケティング領域に注力することになったのですか?
斎藤:端的にいうと、専門家の判断を肩代わりするために開発したAIが、より広い分野に転用できるという技術的な可能性が見え、デジタルマーケティング分野に注力するためには事業を特化させた子会社が必要だと判断したからです。また、マーケティングやWeb上の領域は、私たちが得意としているテキストデータ解析が非常に有効だという理由もあります。
Webはログデータと同様に、テキストデータの宝庫でもあります。ログを解析して行動を予測するようなソリューションは出てきていますが、人の趣味嗜好や考えが凝縮されている自然言語(テキスト)を専門的に解析できるAIは、当社以外にほとんどありません。
実は、当社のAIエンジンの「KIBIT」という名称は、“人の心の機微を理解できる”ところが語源なんです。学習によって、それを各領域の専門家レベルで行えるわけです。
3月3日開催のMarkeZine Dayでは新たな事例紹介も
2016年3月3日(木)に開催する「MarkeZineDay 2016 Spring」に斎藤氏が登壇します! 記事では明かせなかった事例などもイベントでは紹介します。申込は2月29日の17:00までとなっておりますので、気になる方はこちらから詳細をチェック!
【セッション情報】「MarkeZineDay 2016 Spring 」B-5セッション
『今こそ取り組むべき人工知能のマーケティング活用事例 ~VOC活用・レコメンド・ロボットのご紹介~』
・開催日/時:2016年3月3日(木)/13:50~14:40
・場所:秋葉原コンベンションホール(東京都千代田区外神田1-18-13 秋葉原ダイビル2F)
・詳細、お申し込み:こちらから