ユーザー視点で見た、オプトアウト対策の重要性
ところで、広告配信のことだけ考えていればいいわけではありません。データについては、ユーザーの視点からも考える必要があります。「あなたの個人情報を使いますよ」と言われたとき、何をどう使われるのか、ユーザーがきちんと認識できないのは大きな問題です。各社共にプライバシーポリシーなどで謳ってはいるものの、ユーザーがすべて正確に読み取り、理解するのは簡単なことではありません。
もちろん、情報を取り扱う側は、データから個人を特定せず、匿名加工して利用します。匿名にするのには、ある程度のボリュームがないと配信価値のあるデータにならないこと、セグメンテーションを切るだけでコストがかかることなど、設定や検証、運用に多大な手間がかかり、投資対効果が合わなくなってしまうなどの理由があります。
それでも不安のあるユーザーに向けて、「ターゲティング広告」に関するユーザー及び事業者への情報提供などの活動を通じ、ユーザーの選択とプライバシーが尊重される健全な環境づくりに取り組むことも検討すべきです。例えば業界団体DDAIのように一括でオプトアウト(個人情報の第三者提供にあたり、本人の求めに応じて第三者への提供を停止すること)できるサービスの利用を視野に入れるのもひとつの手段です。海外にもTRUSTe(トラストイー)といったオプトアウトの仕組みがあります。
とは言え日本においては、オプトアウトはiマークで整備することが望ましいでしょう。ユーザーの利益や権利、プライバシー保全を意識して、業界団体の意向に従い、法律的な整備を理解して、皆で運用していく形が理想的です。インターネット時代の今、自分がどんなサイトを見てきたか「あしあと」を気にすることがなくなりました。そんな背景もあって、現代は良くも悪くも、昔と比べてデータがゆるく取り扱われる傾向にあります。データの取り扱い方は、時代によって変えていく必要があります。
アドフラウド対策ができているか、まずは検証してみよう
さて、最後にこれまで全3回の連載を担当してきた、私たちSupershipの強みを2つ、簡単に伝えさせてください。1つ目は、複数の実データを掛け合わせることにより、ターゲットを詳しく分析し、広告配信できること。2つ目は、スマートフォンの入口と出口、さらに中に流通するデータを押さえていること。これはCookieだけではなく実データの取得も可能です。デジタル広告市場にはスマ―トフォンで取得できる複数の実データを掛け合わせて配信できるものがまだ少ない状況ですが、充実した実データと配信用のプラットフォームを有し、勝負するためのインフラを整えているのが私たちです。
今回でアドフラウドの連載は終了します。少し難しい話ではありましたが、アドテクノロジーがこれからも進化し、広告配信するデバイスがPCからスマートフォンに移行した今、今までと同様に類推データをメインに勘と経験と度胸では最適な広告運用は難しいでしょう。常にアドフラウドを意識し、リーチとフリークエンシーを確保するために実データと類推データの活用を区別して考え、最後にアドベリフィケーションツールを活用して検証し、次に繋げていく。これはデジタル広告との向き合い方の基本になってくると思います。皆さんもぜひ一度、運用に関してはアドフラウド対策ができているか、検証してみてください。
