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マーケティング4.0を実践する、かものはしプロジェクトに学ぶ!マーケティングオートメーション活用術

 ITの力を活用したマーケティングは、一般企業だけでなく、NPOやNGOをはじめとしたソーシャルビジネスを行う組織にまで広まりつつある。人材や予算が限られる中で、いかにツールを活用して大きなインパクトを生み出すのか。今回はマーケティングオートメーションツールを導入し、One to Oneマーケティングを実現することでファンドレイジングに大きな成果を出している、「認定NPO法人かものはしプロジェクト」の事例を紹介する。

 2016年4月、マルケトは社会貢献プログラム「Marketo Social Impact」を通じて、非営利団体の活動資金の調達(以下、ファドレイジング)などを支援していることを発表した。日本においてはエイズ孤児支援の「PLAS」、高校生へのキャリア支援などを行う「カタリバ」、世界の子どもが売られる問題を解決する「かものはしプロジェクト」、病児保育の「フローレンス」といった4つの非営利団体が同社のマーケティングオートメーションツール「Marketo」を導入し、すでに複数の団体が高い投資対効果を出しているという。

(左)株式会社マルケト 社会貢献プログラム Marketo Social Impact担当 稲垣亮太氏
(右)NPO法人かものはしプロジェクト 広報・ファンドレイジング担当マネージャー 小畠瑞代氏

 一般的に“企業よりも難しい”といわれるNPOのマーケティングにおいて、どのようにOne to Oneマーケティングを実現し、成果を挙げているのか。その秘訣をかものはしプロジェクトの広報・ファンドレイジングマネジャー 小畠瑞代氏と、マルケトでMarketo Social Impactを担当する稲垣亮太氏にお話しをうかがった。

One to Oneマーケティングを実践したい

小畠:かものはしプロジェクトは、“子どもが売られない世界”をつくるために、固い言葉で言うと商業的性的搾取を世界からなくすために活動をしている日本発の団体です。2002年から活動を始めて、日本とインド、そしてカンボジアで活動をしています。インドやカンボジアで活動するためのお金を、日本で集めているのが私たちの主な活動です。

 カンボジアでの問題は比較的減ってきていることもあり、今力入れてるのはインドでの活動です。2012年から活動を始めて、被害に遭った女の子が人生を取り戻すためのサポートと、人身売買ビジネスの仕組みを壊すことをインドの現地パートナー団体と一緒に取り組んでいます。現地で問題を解決するためには、大きなコストがかかります。どれぐらいの規模で現地の活動にお金を投資できるかが、ミッションを達成するスピードに大きく影響してくるので、日本におけるファンドレイジングはとても重要な仕事です。

――おおよそ年間でどのくらいの金額が動いているのでしょうか。

小畠:2015年度の収入は約1.74億円です。財源の内訳としては、(1)会員会費(毎月一定額を寄付する会員からの寄付。約3,900名分にのぼる)が約9,800万円(2)寄付金(企業や個人からのまとまった寄付)が約5,100万円、(3)助成金・委託金が約2,300万円、(4)その他が約200万円です。

 私たちのファンドレイジングのポリシーとして、寄付収入の約6割を占めている「会員会費」をもっと増やしていきたいと考えています。私たちが取り組んでる児童買春という問題は、国がきちんと動き、法律が変われば一気に解決することがあります。なのでどこかの国の活動でだけ使える寄付というかたちよりは、私たちの活動のイシューに共感していただき、フレキシブルにお金を使ってもいいよって言ってくださる個人の方と一緒に問題を進めていければと思っています。

 この3か年で、合計3億円程度がインドでの活動には必用になってくると試算しています。1年に1億円程度、活動資金を投入ができれば、2020年ぐらいまでには問題が解決できるとみています。

――かなり大きな金額が継続して必要なのですね。

小畠:ファンドレイジングの課題は大きいですが、主に「ポテンシャルドナーの発掘(※1)」「ペルソナごとのアプローチ」「退会者へのアプローチ(リテンション施策)」「イベントへの集客強化」といった主に4つの課題にフォーカスして取り組んでいます。

※1ポテンシャルドナー:組織の活動に興味を持ってくれている、将来会員になりそうな人たちのこと。

 私たちの活動にせっかく興味を持ってくれている人に対しては、寄付をいただくという最終的な目的だけではなく、まずはきちんとその方々との接点を持って、何らかのかたちで一緒に関わっていきたいと思っています。また、当たり前のことですが、人によって欲しい情報は大きく異なります。どういうふうに問題解決していくかのかというプロセスが知りたい人もいれば、どうやって自分が活動に参加できるかを知りたいと思う人もいます。これまではそれがわかっていながら、画一的な情報提供しかできていませんでした。

 年間資金調達の目標を実現するために、それぞれのターゲットに向けて適切なアプローチをしたい。そんな思いからマーケティングオートメーションツールの導入に至りました。

――かなり綿密な事業プランを作成しているのですね。

小畠:普通の企業と全然変わらないかたちで、課題と目標を立てて、数字は明確に出しています。特に私たちのように寄付型事業のNPOは、説明責任が強く求められます。いかに効率的に課題解決を進めていくかは非常に重視しています。皆様からいただいた貴重な寄付を有効に使うために、事業プランをきちんと立てつつ、仮説検証を回していく組織文化が根付いていいます。

稲垣:Marketo Social Impactの担当として様々なNPOのお手伝いに関わっていますが、企業かNPOかは、実は全く関係ありません。むしろNPOのマーケティング(ファンドレイジング)のほうが難しく、企業よりも高度な経営やマーケティングが求められることもあります。

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長 1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケター向け専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、定期誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新しいビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは...

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