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Netflix CEOの予言「テレビ放送の寿命はあと10年から20年」を考察する

 アタラ合同会社が運営するメディア「Unyoo.jp」から、コラムやキーパーソンへのインタビュー記事をピックアップして紹介する本連載。今回は、アタラ 取締役 COOの有園氏が、地上デジタルテレビ放送の未来について提言したコラムの要約版です。

地上デジタル放送は時代遅れのサービスになってしまうのか

 「テレビメーカーさんが4K・8Kに対応したテレビ受像機をどんどん売り出してくるのが不思議なんだよなぁ。」

 これは、大阪の朝日放送(ABC)で働く私の大学時代の先輩の言葉だ。昨年(2015年)末に大阪出張した際に、朝日放送にお邪魔した。朝日放送でも4Kに対応したカメラを持っているそうで、4K対応の映像が少しずつ増えているらしい。ただし、地上デジタルテレビ放送は4K・8Kに対応しておらず、今後も当面は対応できないというのが放送業界では常識になっていると聞く。つまり、一般の地上デジタルテレビ放送で4K・8Kという綺麗な映像を見ることはできない

 「地上波が対応しないのに、4K対応カメラで映像を撮りためても使う機会がないんだよ。今後、どうなっていくんだろうか」と、彼は素朴な疑問を投げかけた。BSなどの衛星放送は2020年までには、4K・8K放送に対応してくる予定だ。しかし、地上デジタルテレビ放送にはそのようなロードマップがあるとは聞いたことがない。

 地上波しか持たないローカルテレビ局、大阪の朝日放送としては、4K対応映像を撮りためておいても、どこにも「放送する」場所がないのだ。もちろん、Netflixのような4K対応の動画サービスなどを開始すれば、朝日放送も4K映像を「配信できる」かもしれない。ただし、これはいわゆる「放送」ではない。ちなみに、キー局5社にはBS放送のチャネルがあるが、朝日放送などのローカル局はBS放送チャネルを保持していないらしい。

 そこで年明け(2016年1月)に、ソニーで働く知人に「なんでテレビメーカーは4K・8Kテレビ受信機をどんどん売り出すんですか?」という質問をぶつけてみた。すると、こんな返事が返ってきた。

 「2020年までに、BSなどの衛星放送が4K・8Kに対応してくるし、Netflixなどの動画配信サービスが4K映像に対応してきた。地デジが対応してもしなくても構わないよ。それに、他のテレビメーカーに遅れをとる訳にはいかないでしょう」と。つまり、テレビメーカーは、最初から地上デジタルテレビ放送を相手にしていないのだ。相手にしているのは、衛星放送とNetflixなどOTTのインターネットなのだ。

 総務省のウェブページにある4K・8Kロードマップにも、地上デジタルテレビ放送は、2Kのまま継続と記載されている。

 このままでは、地上デジタルテレビ放送は、衛星放送やインターネットに比較して、技術的劣位になるかもしれない。つまり、高精細で綺麗な映像コンテンツを地上デジタルテレビ放送では楽しむことができない。ある意味で、「時代遅れのサービス」になってしまうかもしれない。

 そのことについて、東京のキー局の知人に意見を求めた。すると、「4K映像は50インチ以上の大型テレビで見ないと、その画質の良さが一般の人にはわからないよ。だから、そんなに普及しないんじゃないか?」という認識だった。

 しかし、50インチ以上のディスプレイでないと、4Kの良さは本当にわからないのだろうか?ところで、MacのRetinaディスプレイは4K対応である。「21.5インチiMac Retina4Kディスプレイモデル」は、50インチよりかなり小さいが、4K対応なのだ。多くの人が気づいていると思うが、iMacのディスプレイはテレビよりも圧倒的に綺麗だ。私のような一般の人が見てもすぐにわかる。おそらく、Appleも普通の人が違いを認識できるか実験しただろう。そして、その違いが一般の普通の人でも分かるから、21.5インチで4Kディスプレイ搭載モデルを商品化したのだろう。

アメリカではNetflixが先行

 では、デジタル先進国であるアメリカの状況はどうだろうか。アメリカの4K映像については、Netflixが先行しているようだ。Amazon Prime Videoも4K配信を始めているようだが、Netflixは2014年から4K配信をスタートし、そのオリジナル番組のほとんどは4Kになっている。現在は18のシリーズを4Kで配信しているらしい。

 このNetflixの4K映像を楽しむためには、基本的にはテレビ端末をインターネットに接続することになる。アメリカでもテレビ放送の4K対応はなかなか進んでいないし、テレビ帯域の問題などもあって、すぐに4Kに対応するのは難しいようだ。

 その一方で、インターネットに接続されたテレビ端末(connected TV:結線されたテレビ)の普及率は、アメリカでは65%という調査結果も出ている。また、アメリカのDigitlasmithsの調査では、「WiFi enabled devices that can support TV viewing(テレビや動画視聴をサポートしているWiFi機能を持つデバイス)」の普及率は2015年Q4で、60.2%となっている。

 一見すると「Computer/Laptop」の38.2%が大きく見えるが、一方でOTTのメインプレーヤーの合計値は30.9%となっている。

「Google Chromecast」:9.0%
「Apple TV」:8.7%
「Roku Streaming Player」:7.1%
「Amazon Fire TV Stick」:3.8%
「Roku Streaming Stick」:2.3%

OTT:動画・音声などのコンテンツ・サービスを提供する事業者、もしくはそれらコンテンツ・サービスそのもののこと。インターネットサービスプロバイダや通信事業者とは関係のない企業が運営し、特に大量のデータ通信が発生するサービスについてOTTと呼ばれることが多い。パソコンやスマートフォンなど複数のデバイスで同じ内容にアクセスでき、多くのユーザーが簡単に利用できる点が特徴だ。
参照:OTTの概要

 この数字が示すように、いわゆる通常のテレビ放送ではなく、結線されたテレビ端末上でOTTの映像コンテンツを消費する傾向は増加しているようだ。このままのペースでいくと、近い将来には、OTTが提供する映像コンテンツによってテレビ放送というビジネスは危機に陥るという意見がアメリカでは多くなっているようだ。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/06/23 08:00 https://markezine.jp/article/detail/24598

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