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『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

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マーケティング全体最適を実現する「マーケティング・ミックス・プラットフォーム」(AD)

「マーケティングは総合芸術、共通基盤が必須」“全体最適×高速PDCA”を叶える統合分析ソリューション

 「データを通して示唆を届ける」ことを企業のビジョンに掲げるサイカは、マーケティング特化の統合分析ソリューション「XICA magellan」を5月に先行リリースした。同社が強みとする統計的手法を用いて、データ分析結果ではなく、そこからどのようなアクションを取ればいいのかを提示する同ソリューションは、施策を実践し成果を得る上でマーケターの大きな力になる。7月4日に矢野経済研究所が発表した『広告効果測定のためのデータ活用に関するアンケート調査』でも、データ分析・活用のニーズが高いことが示された中、同社の平尾喜昭代表取締役は「最終的には誰もがデータを使いこなし、知恵を得られる世界を目指したい」と意気込む。

データ分析レポートだけでは実践につながらない

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は、この5月に統合分析ソリューション「XICA magellan」(以下、マゼラン)を先行リリースされたサイカの平尾社長を訪ねました。サイカはマゼランの開発・事業推進に関して、3月に電通および電通デジタル・ホールディングスと業務提携し、企業のデジタルマーケティングの企画から実践までのサポートにあたることも発表しています(参考情報)。

 また、7月4日に矢野経済研究所が発表した『広告効果測定のためのデータ活用に関するアンケート調査』でも、データ分析・活用へのニーズが高いと示され、データ分析・活用を促進するサービスへの期待が高まっているのではと感じます(参考情報)。

 2012年に創業されたとのことですが、初めにこれまでの経緯を教えていただけますか。

平尾:当初は統計分析の会社として起業し、企業に対して統計分析ツールを通したコンサルティングを行っていました。ですが1年ほど経って、僕らが提出したレポートも「なるほど」とは思われても、そこから実践に落とせる企業が非常に少ないことに気付いたのです。

株式会社サイカ 代表取締役 平尾喜昭氏
株式会社サイカ 代表取締役CEO 平尾喜昭氏

 現状に対して問題意識を持ち、仮説を立てて実践するには、やはり外部である僕らだけでは不十分でした。そこで、事業会社の方が使いこなせる統計分析ツールの開発に取り掛かりました。

MZ:ちなみに、統計分析に着目したのは、どういった背景があったのでしょうか?

平尾:それは、僕の個人的な原体験に基づいています。実は中学1年生のとき、父が勤めていた大手小売企業が倒産し、父も周囲の方々もとてもつらい思いをしたのを間近で見たんです。

数値化された客観データがあれば倒産は防げたかも

平尾:父は課長くらいの役職だったので、倒産を知ったのは発表のわずか1時間前だったそうです。勤めている以上、自分ではどうにもならない悲しみがあるんだと痛感して、将来は自分の足で立つことを意識しました。統計学に出会ったのは、進学した慶応義塾大学での竹中平蔵教授のゼミでした。

MZ:理系のバックグラウンドではなく、経済政策における統計学に触れられたんですね。

平尾:ええ。経済政策の価値を、しっかり数字で明らかにすることを求められて、衝撃を受けました。父の勤めていた会社はカリスマ経営者で有名でしたが、もしも統計分析で客観的な判断材料を得ていたら、倒産しなかった可能性が0.001%でもあったかもしれない。あの悲しみを防げたかもしれないと感じて、もっと世間一般に統計分析の価値を届けたいと思うようになりました。そうして、卒業の直前に起業しました。

MZ:そうだったんですね。先ほど、翌年にデータ分析のツール開発に着手されたとのことでしたが、そこから「マゼラン」開発にはどうつながっているのですか?

平尾:特別な知識がなくても使えるツールを開発したものの、やはり有効活用するには、使う人自身が仮説を立てられること、またそれだけの問題意識を持っていることが必要でした。

 そのころ、ちょうど僕らのビジョンとして「すべての会社にデータから得られる示唆を届ける」ことを掲げたんですが、これでは“すべての会社”にはならない。そこで、分析ツールではなく、そこからどうアクションを起こすべきかを示唆するツールの開発に乗り出しました。

オンライン・オフラインを統合する「マゼラン」

MZ:たしかに、分析結果があっても活かせない、そこから何をすればいいのか分からないというマーケターの課題はよく耳にします。すると結局、ポテンシャルのあるツールでも「役に立たない」と判断されてしまう。

平尾:そうなんです。マゼランの前身となったツールも、ユーザーの9割5分がマーケターだったので、それならもうマーケターの実務領域に特化して、データ分析を経て“ネクストアクション”を提示してくれるアプリケーションこそ必要だと考えました。

 開発にあたって、たくさんのマーケターの方にヒアリングしましたが、そこから主に2つの課題が浮かび上がりました。まず、オンラインとオフラインを統合した全体最適化。そして、施策の再現性です。

MZ:“全体最適化”というキーワードは、数年前からいわれていますが、実際にはなかなか実現できていませんね。デジタルマーケティング領域は特に、各施策と担当者が細分化して、部分最適での効率化ばかりが進んでいる。そこにテレビCMなどが加わると、全体を把握するのは極めて難しくなってきます。

平尾:ええ。言い換えると、広告施策を正しく評価できていない状態です。でも、ユーザーがオンラインとオフラインを自由に行き来するようになった今、ますます全体最適の視点は不可欠です。

 ただ、オンラインとオフラインを統合すると、今度は手法が膨大になってしまう。すると、「結局どの施策が効いたのか」が分かりにくく、再現できないという事態にも陥ります。

マーケティングは総合芸術、共通の基盤が不可欠

MZ:それが、施策の再現性という2つ目の課題なんですね。

平尾:はい。そもそもデジタル領域だけでも手法が多く、KPI設定にも皆さん迷っている。本来「この指標を上げれば成果が得られる」という指標がKPIなのに、再現性がないということは、KPIがKPIとして機能していないわけです。

 そこで、この2つを解決するために、マゼランでは「マーケティング・ミックス・プラットフォーム」(以下、MMP)という概念を打ち立てました。

MZ:MMPとは、具体的にどういった内容なのでしょうか?

平尾:先ほど、オンラインとオフラインを統合した全体最適と、再現性が課題だとお話ししました。MMPではこれらを受けて、まずオンラインとオフラインを統合した施策の評価を可能にします。

 統計分析のノウハウを活用し、CPA評価だけでなく認知施策の間接効果も評価して、全体最適化を図ります。これによって、正しく機能するKPIの設定や、施策の再現性も担保します。これが“マーケティング・ミックス”に当たる部分ですね。

 もうひとつ“プラットフォーム”としたのは、チームで共有できる基盤が必要だという考えに基づいています。マーケターの方々に話を聞く中で、僕はつくづく「マーケティングとはチームでつくる総合芸術なのだ」と実感しました。施策が広がり、全体最適の視点が必要になるほど、リアルタイムで皆が情報共有できるプラットフォームが必要になっているんです。

全体最適×高速PDCAを実現するMMP

MZ:マーケティングが総合芸術というのは、たしかに納得ですね。

平尾:共有されないから、チームで戦えないと。実際には、施策が細かくなるほど担当者も分かれてしまうのですが、そこを超えていかないといけない。特に、リアルタイムの可視化と共有ができないと、潮目がどんどん変わってしまうので、ここでは高速PDCAの実現が重要になります。

MZ:つまり、施策を統合して評価することで全体最適可を実現し、かつ高速でPDCAを回して成果が上がる方法を精緻化するのがMMPの考え方なんですね。

平尾:ええ。加えて、これらをチームで共有できる、そのツールがマゼランなんです。具体的には、評価の部分ではデータ収集や整理、分析に役立つ、データ自動連携やナビゲーション機能を備えています。また、実践に落とし込む部分では、予算配分のプランニング機能と、オンラインとオフラインを通した高速PDCAを実現する予実管理機能を実装しています。

MZ:なるほど。平尾さんからご覧になって、全体最適×高速PDCAが特に求められる業界はありますか?

平尾:ユーザーの動きが速く、テレビCMも盛んになっているゲームアプリなどは極めてフィットすると思います。ただ、今はどの業界でも、またダイレクト系だけでなくブランディング系でも、先進企業がオンラインとオフラインを使いこなして成果を上げようとしています。この動きはどんどん連鎖していくので、もはや全体最適×高速PDCAに注目せずには廃れるだけと言えるかもしれません。

100%、200%もの成果を上げられるのがマーケティング

MZ:なるほど、どの業界でも遅かれ早かれ「全体最適×高速PDCA」が必要になるというのは納得です。自分たちが現状維持しているつもりでも、周りが進化していけば、競争の土俵にも上がれない。特にこれから海外勢と戦うことを考えると、今すぐにでも取り組む必要がありそうです。

平尾:そう思いますね。そして、先進企業の変化の背景にあるのは、やはりユーザー体験の多様化、個別化だと思っています。毎日それぞれが複数の接点を通して情報に触れ、ブランドを好きになったり嫌いになったりする。

 現段階では、好きになった、といった感情まで明確に数値化するのは難しいですが、それでも関連指標は拾えますし、購買のような行動ならほぼ完璧に数値で把握できます。これらを徹底的に味方にして、アクションにつなげていくのがマゼランなんです。

MZ:では最後に、マゼランを通して、どんな世界を実現されたいか、お聞かせいただけますか?

平尾:特にデジタルマーケティングが細分化したことで、今、マーケターとして働きながらもオペレーションに留まってしまっている人も多いと思います。本来、マーケターは新しい市場を見つけ、新しい顧客を創造することができる人であるはず。CVR1%の世界ではなく、100%や200%ものダイナミックな成果を得る可能性があるのがマーケティングだと思います。

 最終的には、マゼランを通してマーケターに「知恵」を提供するのが目標です。データはあくまでデータですが、正しく扱えばインフォメーションになり、ナレッジになり、ウィズダム、知恵になります。同時に、施策を正しく評価することで、マーケター自身の適正な評価の実現にも寄与できれば嬉しいですね。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/07/19 11:00 https://markezine.jp/article/detail/24619