チャットボットを利用するにあたって考慮すべきこと
2016年6月30日にFacebookは、Facebook Messengerのチャットボットが11,000を超えたと発表する等、チャットボットの数は急速に増加している。こうした中、企業がチャットボットを活用してユーザーとコミュニケーションをとる場合にどのような点を考慮すればよいのだろうか?
以下の3つのポイントがあると考える。
- チャットボットの活用目的を明確化する
- 他のチャネル(ウェブサイトやアプリ)との違いを理解する
- チャットボットは会話を自動化するものであることを忘れない
ポイント1:チャットボットの活用目的を明確化する
先述の通り、人工知能を活用するとはいっても、自由にどんな内容にも対応可能なチャットボットは作るのは非常に大変だ。活用目的を絞り込まない場合、対話のバリエーションが膨大となり実現難易度は高くなる。そのため、ある程度は対応がパターン化されているようなものからチャットボットを活用するのが良いだろう。例えば、前述の顧客対応やサポートのように、利用しているサービスの状況を確認するようなものが考えられる。
ポイント2:他のチャネル(ウェブサイトやアプリ)との違いを理解する
チャットボットはボタンや階層化されたメニューを中心としたウェブサイトやアプリとは異なるユーザーインターフェースであり、テキスト等による双方向でのやり取りが中心となる。またクリックやタップを中心とした行動によってユーザーの状態が遷移するのではなく、コミュニケーションによって状態が遷移する。そのため、ユーザー目線でどのような対話が発生する可能性があるのか想像し、対話シナリオを設計していくことが重要となるだろう。
ポイント3:チャットボットは会話を自動化するものであることを忘れない
元々メッセージング・サービスはユーザー間の会話を前提としたサービスであり、こうした背景で大きく普及してきている。またチャットボットは会話を自動化するものであり、単に情報発信をするものではない。そのため、ユーザーとのコミュニケーションにおいて、どのような会話を自動化するチャットボットなのかを改めて意識する必要があるだろう。
上記の通り、チャットボットはユーザーと会話をするものであるため、単に企業名を掲げるよりは、キャラクターを活用したり、擬人化したチャットボットのほうが、ユーザーから見て親近感がわき、会話するモチベーションも高まってくるだろう。また、正しい回答ができないことも多々あるだろう。その場合、キャラクター性を利用したほうが、ユーザーは何となく許せる気持ちになるかもしれない。
チャットボットはまだ登場したばかりであり、今後チャットボット上の人工知能が進化していくことで、対応可能なことも増えていくだろう。チャットボットを構築するための人工知能ソリューションを提供するような企業も増えている。2000年代以降に生まれた「ジェネレーションZ」と呼ばれる世代は、メールや電話よりもメッセージング・サービスを一番に利用しているといった調査結果もある。そうした中で、チャットボットによるコミュニケーションは、今後のメディアを大きく変える可能性を持っていると言えるだろう。
(執筆:プロダクト開発本部 広告技術研究室長 永松範之)
