チャレンジ奨励の組織だからこそ、必然だったインハウス化の動き
ネクストは、2012年から国内企業の中でも先陣を切ってMAツールを導入するなど、デジタルマーケティングにおいて積極的な取り組みを続ける。昨今は、国内企業の中でデジタルマーケティングチームのインハウス化を目指す動きが見られる中、ネクストにも同様の動きがある。
とはいえ、子会社が12社、約1,000名の従業員数を抱える会社となれば、社内調整やコストを勘案すると簡単な話ではない。既に10月からAPIを介してYahoo!プロモーション広告の運用をインハウスで実行(詳細)している意義は、特に規模感のあるナショナルクライアントを中心に強く関心を集める動きといえる。なぜネクストは、実行できるのか。
そもそもの前提として新しい取り組みに積極的な文化があると菅野氏。今回の動きも、全社的にマーケティングプラットフォームを改革する動きの一つだという。
「弊社は2015年に、今後10年で子会社を含めてグループ全体を100社体制に拡充するというグループ戦略を掲げました。100社運営の観点でグループシナジーを生み、ユーザーに万全なサービス提供を行う観点では従来のシステムでは通用しない部分もあります。
例えば、散在した顧客データを1人のユーザーとして認識できるようにCRMを統合できれば、データが“個”客化(重層化)します。そこを基点に自社でメールマーケティングや運用型広告を行えれば効果の最大化につながる。だからチャレンジしよう、と」(菅野氏)
外部パートナーの支援を得ながらインハウス化する
一時代先の展望を描くネクストにとって、CRMの最適化は必須の課題だ。そして最適化の先には、広告運用のインハウス化が待っている。
「外部(代理店)への委託では広告で活用できるデータの分断を避けきれず、インハウス化によって、初めてマーケティングデータがシームレス化すると考えています。
例えば、売上に関する基幹システムに入ってくるデータや、顧客の個人情報、コールセンターや実店舗での応対履歴などは、外部に出したくないセンシティブな情報の塊です。できれば、それらは自社内で管理、活用したい。
また、代理店に委託していた入稿や入札データは、代理店が独自に貯めてきた知見ですので、これまでならネクストに見えてきませんでした。今後ネクストがそこに取り組めば、入札や入稿の適切な姿を模索できます。インハウス化がデータの取り扱いとともに、オペレーションの踏み込んだ改善にも機能する、というわけです。
外部パートナーにはアウトソーサーとしてではなく、よりコンサルティング視点で支援に専念してほしい。外部パートナーならではの知見や教えを請いながら、ネクスト流のインハウス化を実現したいのです」(菅野氏)