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有園が訊く!

“マス”はもう消滅した 細分化する“スモールマス”を捉える【花王石井×zonari有園対談】

“スモールマス”というターゲティングの考え方

有園:そうすると、ファンを見つけてロイヤルティをさらに高めながら、その人から新たにファンになりうる人へ波及させる形で新規ユーザーを獲得すると。

石井:そうですね。今はSNSもすっかり一般化しましたが、昔も今もやはりいちばん価値ある情報は、友達や親しい人のお勧めです。ポイントなどのインセンティブがなくても、あくまで自分が使ってよかったから周囲に勧めてくれる、そういう人を捉えたい。

有園:それは、いわゆるブロガーマーケティングやインフルエンサーマーケティングとは違うのでしょうか?

石井:ブロガーを介したバイラルコミュニケーションは、数年前に当社も行っていましたが、こちらは規模が小さくてもブロードリーチを狙っていたので、マスコミュニケーションをデジタル上で行っただけでした。

 彼らの力が弱まっているわけではないと思いますが、情報過多の時代では、憧れのタレントのお勧めより、自分と同じような生活水準やライフスタイルを持つ友人のお勧めのほうが相対的に強くなります。

 今、私たちが志向しているのは、相互につながっているコミュニティです。小規模でも、その中で影響力がある人と濃厚なコミュニケーションを図ったり、そういうコミュニティを育てたりしようとしています。この小さなコミュニティを当社では“スモールマス”と呼んでいるんですが、現状はマスがなくなって、このスモールマスのユニットがいくつもある状態だと思います。

ファンをつないで育てる「GO GO pika★pika MAMA」

有園:お互い顔の見える友達や親しい人、というのがポイントですね。

石井:そうですね、情報を受け取る人が、発信する人をよく理解していることが大事だと思います。タレントや有名人について知り得る情報のレベルではなく、お互いに趣味趣向や暮らしぶりがうかがえる程度には密な関係性があることですね。仮にタレントと同じお勧めでも、顔が見える付き合いだと、その人の普段の視点も理解した上で「なぜ勧めるのか」が分かるから、影響力が強いんです。

有園:それはネット上でも成り立ちますか?

石井:そうですね。ネットを介して知り合う仲でも、たとえば同じ境遇だとか同じ関心ごとで集まるコミュニティは親密さが生まれやすく、その中での情報の波及力も強くなります。企業としては、あるコミュニティにおけるキーになる人を見つけて、適切なコンテンツを適切なタイミングでお届けできれば、そのコミュニティ内で自然と広がるので、そういう状況を実現したい。これがファンづくりのマーケティングです。

 当社の運営するママ向けサイト「GO GO pika★pika MAMA」は、まさにファンづくりを意図したものです。

 今どき、この商品が好きな人という括りではなかなかコミュニティは成り立たないので、私たちがアプローチしたい人に有益な場を用意し、相互の情報交換を促しました。すると顧客同士の結びつきが花王への好感や支持につながって、実際にピカママのコミュニティにいる人たちは当社製品へのロイヤルティが高くなっているんです。

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コミュニティと広告との共通点

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/12/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25622

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