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有園が訊く!

“マス”はもう消滅した 細分化する“スモールマス”を捉える【花王石井×zonari有園対談】

コミュニティと広告との共通点

有園:なるほど。そういう場は、もちろん企業が顧客の声を聞く場としても有効ですね。

石井:ええ、商品開発のベースは顧客理解なので、この場を傾聴させていただくのは非常に役に立っています。簡単な例でいうと、0歳の赤ちゃんがいるママといっても3カ月と6カ月ではかなり違うから、個別に最適化した情報を届けなければいけない、とか。

有園:スモールマスごとに、ということですね。ただ、それって数も相当になりますし、すごく面倒なことではないでしょうか?

石井:おっしゃる通りです。でも、そういうコミュニケーションじゃないと、今は響かないんですよね。

 これはコミュニティの中だけの話ではなくて、広告もそうだと思っています。マス、と思われる人たちに1種類のテレビCMを流すのではなく、まずターゲットになりうる人たちにはどういう人がいて、それぞれどんなメッセージやコンテンツが有効か、タイミングは昼か夜か、といったことを逐一考えないといけない。

 もちろん、当社のような会社、いわゆる日本の大手メーカーは今後もマス広告を廃止することはないでしょう。ただ、並行して細かいアプローチをすることも、今は欠かせなくなっています。

マス向け設計とデジタル向け設計の両方ができるように

有園:今年のカンヌ(カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル)で、ユニリーバのCMOの講演を聴いたんです。CMOのMには意味が三つあって、チーフ・マーケティング・オフィサーに加えて、チーフ・マクロ・オフィサーとチーフ・マイクロ・オフィサーだと。マクロとマイクロの視点は、今石井さんがおっしゃったことと同じですね。どんなビッグブランドでも、マイクロな視点でスモールマスに相対することは不可欠だと。

石井:そうだと思います。スモールマスの発見やそこへのコミュニケーションはデジタル中心になりますが、お客様が皆オンラインにいるわけではないので、マスメディアとデジタルメディアの使い分けが大事ですね。

 両方必要であることにはもうひとつ理由があって、それはマスとデジタルとで期待する効果が違うからです。マスはやはり価値を広く周知させるのに有効で、一方デジタルはその価値を自分ごと化するのに役に立つ。あなたのこんなシーンで価値がありますよ、と伝えるのはターゲティングできるデジタルならではです。そして、併用するとだいたい広告効果がリフトアップします。

有園:マスとデジタルの両方で接触した人は、購買意向や商品理解などの指標が伸びるわけですね。

石井:ええ。クロスメディアの効果は以前から自明ですし、マスがブロードリーチだから結果的にマスとデジタルが重複するとも言えますが、それぞれの機能が違うので、CMで見て中吊りで見てといったクロスメディアとは少し質が違います。コミュミケーション設計の段階で、それぞれの特長をよく理解してマス向けの設計とデジタル向けの設計の両方ができないといけない。そうでないと、デジタルでもとにかくPVの多いサイトにバナーを投下するような、マスと同じことをしてしまう結果になります。

後編は、データを活用した新しいクリエイティブプロセスについて、お話いただきます。公開は明日12月13日8時となります。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/12/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25622

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