クリエイターに依存せずに成功しているMCN
完全にクリエイターに依存していないビジネスで成功しているマルチチャンネルネットワーク(以下、MCN)もあります。一人もクリエイターを抱えていないのに、なぜそれでもMCNとして成り立つのか、そしてどういったビジネス戦略でどういったコンテンツを作っているかを紹介します。
ケーススタディ:JUKIN Media
MAKERのオフィスから徒歩2分ほどの距離にオフィスを構える、JUKIN MediaというMCNがあります。彼らのビジネスの中心になるのは、一般人がカメラやスマートフォンで撮った映像、いわゆるホームビデオです。
可愛い猫の映像や、不思議な天気現象、誕生日パーティで起きたハプニング映像などジャンルを問わず、おもしろい映像をネットで探して買い集めています。みなさんもテレビできっとこういった映像を一度は見たことがあるでしょう。
JUKINは創業者のJonathan Skogmo氏がテレビ業界にいた頃、「面白ホームビデオ番組」の編成に携わっていたため、その経験を元にネットのUGCに特化して創業したという経緯があります。一方で、昔からこの手の映像を流す面白ビデオ的なテレビ番組があるように、JUKINはそのフォーマットをYouTubeへ持ってきました。
彼らのメインチャンネル「JUKIN Video」はおもしろい映像をまとめて配信するチャンネルとして2012年にスタート。今ではペットの「The Pet Collective」や世界中で起こった奇跡的なシーンを集めた「People Are Awesome」など様々なジャンルに特化したメディアブランドをもって展開しており、「JUKIN Video」だけでもYouTube上で月間10億再生を誇ります(全チャンネルの累計です)。
JUKINのビジネスモデルの興味深いところは、このまとめ動画で使っている映像素材をあらゆる媒体に対してライセンス提供してビジネスをしているというところです。
- ニュースやバラエティ番組などで面白映像を使いたい番組制作会社に販売
- Buzzfeedのようなバイラルメディアに販売
- テレビ局および人気コメディアンと共にテレビ番組を制作
- JUKINのサイト上で動画のライセンスを個人・法人問わず簡単に購入
つまり、一つの映像素材をあらゆるメディアや利用用途に合わせてライセンスすることで、マネタイズを図っています。現在、JUKINは25,000本以上の動画ライブラリを保有しており、この映像素材は、ユーザーが自ら買い取り依頼をできるだけでなくJUKINが抱える何十人ものリサーチャーが日々世界中の動画プラットフォームやSNSをクロールし、バズる前の投稿映像や一般の人の映像を探し出して買い取ることで構築されているという点も興味深い点です。