ケーススタディ:Brave Bison
一般的なブランドタイアップ案件をビジネスの中心に置くMCNでありながら、UGCライブラリをちょっと変わった形で活用をしているBrave BisonというイギリスのMCNがあります。
Brave BisonとJUKINには大きな違いが2つあります。まず、UGCライブラリはBrave Bisonのメインのビジネスではないという点、そしてBrave BisonはそのUGCライブラリをテレビやCM制作会社にCMの映像素材として販売するだけでなく、所属クリエイターにも販売しているという点です。
テレビやCM制作会社にCMの映像素材として販売する、というモデルはとてもイメージし易いと思います。最近話題となった例として、「Sprint」のCMでヤギが実際に笑っているような声を出しているというものです。そういったコンテンツをわざわざ作るよりも、ある映像から自分のCM企画に合う映像を探して使ったほうが安くて楽と考えている企業も少なくないそうです。
日本の場合、YouTuberはファンとの相互コミュケーションをTwitterで補完するケースが多いですが、海外のYouTuberはTwitterだけでなくFacebook、Snapchat、Instagramなど複数のプラットフォームを活躍して、場合によっては自らのサイトをもっていたりします。そしてそれぞれのプラットフォームごとに編集を加えて、尺や内容を最適化した動画コンテンツをアップしています。
クリエイターの立場からすると、毎回わざわざ特定のSNSのためだけに短尺の動画を作って編集したりするのはとてもコストが高く、ネット上で話題となっているコンテンツを拾ってきて、自分のページのコンテンツとしてシェアするほうが簡単で手軽です。
ただ、それはコンテンツの権利やクリアランスという別の問題を孕んでいるため、BraveBisonのUGCライブラリからシェアしたくなる面白映像を見つけてきて、自分のページコンテンツとしてファンにシェアするクリエイターが増えているそうです。BraveBisonにとってはメインの収益源ではありませんが、自社のクリエイターネットワークとUGCライブラリを掛け合わせたおもしろい活用方法だと思います。
ケーススタディ:ScaleLabのテクノロジーライセンシング
最後にもう一つのMCNのおもしろい取り組みを紹介します。ScaleLabという世界でトップ20のに入っているMCNです。彼らもオリジナルコンテンツに投資したり、ブランドタイアップをやったり様々なコンテンツビジネスを展開していますが、他のすべてのMCNと違うポイントが一つありました。
ScaleLabは所属クリエイターに提供しているMCNクリエイターの管理ダッシュボードのシステムを、自社クリエイターだけではなく、他のMCNにもソリューション提供しています。単純なシステム提供だけではなく、利用者に対するユーザーサポート、支払いまでの運営代行をすべてScaleLabが行っているのも特徴です。
ScaleLabのシステムを利用している他のMCNはライセンス費用を払い、クリエイターの管理、マネージメントにだけ集中することができ、コストの大きいシステム運用や保守、ユーザーサポートを任せることができています。
このテクノロジーライセンシングはScaleLabの中で大きな売上の割合を占めているそうですが、今後MCNに所属していないYouTuberでもチャンネルのエンゲージメント分析、案件の提供や素材などの各種サポートをサブスクリプションサービスとして受けられる、オープンプラットフォームへの拡張を目指していると、COOが述べています。