地方創生と言うより、日本を元気にしたい
日本オラクルは地方自治体とタッグを組み、同社のクラウド技術を活用した様々な取り組みを実施している。たとえば札幌市を含めた産官学連携のさっぽろ観光創造研究会のケースでは、同市にまつわる訪日観光客のSNS上の声を分析。その結果をもとに、『札幌でしかできない50のこと』というガイドブックを作成し、従来とは異なる視点で同市の魅力を紹介した。また徳島県那賀町のケースでは、町の魅力を発掘する動画コンテストの開催からソーシャルでの反響分析までを支援した。
このようにクラウド・サービスを用いて地方創生に対する支援を積極的に行っている日本オラクルだが、その真の目的はさらに大きなところにあるという。
「東京から見た地方という視点をもとに、地方創生という概念があります。しかし、我々の本当のテーマはグローバルから見た日本です。今後日本の人口が減っていくのは明らかです。その中でどうすれば日本という国が元気でいられるのか。我々は会社として地方を元気にしようとしていますが、本質的には日本そのものを元気にしようとしているんです」(下垣氏)
日本の総人口は減少を続けており、2060年には8,000万人台になるとも言われている(※1)。同氏は、そのような状況下で日本が魅力的な存在であり続けるためには、インバウンド、つまり訪日観光客のエンゲージメントをどれだけ高められるかが重要であると語る。
「テーマが広いのでオラクルと何の関係が?と思われるかもしれません。しかし、今は何かを行おうとすると、必ずITが必要な時代なのです」(下垣氏)
旅行前、旅行中、帰国後……適切なタイミングで適切な支援を
訪日観光客の行動を旅行前、旅行中、帰国後に分けて考えた場合、一般的には「旅行中」に意識が集中しがちだ。しかし、訪日観光客とのエンゲージメントを高めるためには、滞在中に十分にもてなすだけでは不十分だ。下垣氏は「旅行前」に着目し、何が訪日を決めるための「トリガー」になっているかを見極めることが重要だと語る。
「外国人も日本人と同じで、結婚や卒業といったイベント主導で旅行に行くことが多いんです。そのトリガーを見極め、ユーザー一人ひとりに適切な情報を適切なタイミングで提供することが、最も重要なのです」(下垣氏)
※1:総務省 我が国の人口動態と将来推計