規模拡大を続けるカゴメの通販事業に聞くUGC活用
村岡:カゴメさんは通販事業の規模が年々拡大していて、2015年12月期の売上高は87億円に達しています。御社の通販事業を外から見ていると、マス広告やオンライン広告、近年はSNS広告に至るまで、広告を上手く活用されているという印象があります。
本日は、御社が取り組んでいる広告の中で、特にFacebook広告の成果や、広告クリエイティブの制作に関するお話を伺いたいと思います。まずは、Facebook広告を導入したきっかけや、どのように運用しているのかを教えてください。
原:2015年5月から、通販限定の野菜飲料「つぶより野菜」の広告をFacebook上で出稿しています。Facebookでは主に類似拡張配信や、オフラインメディア(新聞折り込みチラシ)などとのメディアミックスを実施してきました。
当社では目下「通販事業の広告費の投資回収効率を改善しながら、売り上げを拡大する」という方針を掲げているため、その実現方法を模索する中で、新たな広告媒体としてFacebookに挑戦したというのが導入のきっかけです。
村岡:Facebook広告の手応えはいかがですか?
原:CPAやCPOは合格水準のなか、獲得規模が大きく拡大しています。定期購入への引き上げ率は、オンライン運用広告の中で最も高い数値を示しています。また、オフライン広告とのメディアミックスを実施した際は、Facebook広告を含まない場合と比べて、通販サイトへの流入数をはじめ、CVR、CPA、CPOなどの指標において良い結果が得られました。Facebook広告には大きなポテンシャルがあると思いますね。
Facebookでは「広告らしくないクリエイティブ」がクリックされやすい
村岡:続いてクリエイティブ制作についてお聞きします。御社はFacebook広告のバナーにUGCを積極的に活用されていますね。それはなぜでしょうか?
原:Facebook広告において効果的なクリエイティブとはどのようなものか、試行錯誤を重ねた結果、UGCの可能性に気がつきました。出稿を開始した当初、さまざまなパターンのクリエイティブを試す中で、一般の方が撮影したような親しみやすい画像を使ったバナーが非常に高い成果を上げる事例が出てきました。
一方、新聞折込チラシやYDNなどで高い成果を上げてきたクリエイティブをFacebook広告に活用した際のクリック率は総じて低く、中にはまったくコンバージョンが発生しなかったバナーもありました。つまり、Facebook広告では従来のクリエイティブの常識が通用しなかったのです。
この経験から、「広告色が強いクリエイティブはFacebookでは嫌われる傾向にあり、広告らしくないクリエイティブのほうが効果は高いのではないか」という仮説を立てました。そして、この広告らしくないクリエイティブを集めるために、UGCの活用を決めました。
村岡:具体的に、広告効果の高かったクリエイティブはどのようなものだったのですか?
原:高い成果が得られたクリエイティブの一つは、野菜ジュースが入ったグラスを机の上に置いただけのシンプルなものでした。成分の特徴などは記載しませんでしたし、「野菜100%」を訴求している商品であるにもかかわらず、氷が入ったグラスの写真を使うなど、従来の弊社のクリエイティブの常識からは完全に外れたものでした。しかし、蓋を開けてみると、そのバナー経由のコンバージョン数は他のクリエイティブを圧倒していました。
村岡:逆に、コンバージョン率が低かったクリエイティブは、どのような内容だったのでしょうか?
原:商品を鮮明に写して、製造者としてこだわったポイントや成分の特徴などを文章で説明したものですね。これらはオフラインやオンラインディスプレイ広告の勝ちパターン。つまり、通販事業で培ってきた当社のノウハウが詰まっているクリエイティブだったのですが、Facebookではほとんどクリックされませんでした。改めてSNS広告と従来のディスプレイ広告のクリエイティブの特徴の差を痛感しました。