IFPI(International Federation of Phonographic Industry:国際レコード産業連盟)は、1月24日にデジタル音楽ビジネスの動向をまとめたレポート「Digital Music Report 2008」を発表した。IFPIによると、2007年のデジタル音楽の売上は前年比40%増の約30億ドル。そのうち最も利用されているシングルのダウンロードは、53%増の17億ドルとなった。世界最大のデジタル音楽市場である米国では、ネットと携帯を介した売上は全体の30%を占めているという。
レポートでは日本の音楽業界についても触れており、デジタル音楽の売上に占める携帯の割合が米国では67%なのに対して、日本では90%以上が携帯からの売上。携帯からの売上が圧倒的な日本市場において、最も成功したアーティストとして宇多田ヒカルとGReeeeNの名前が挙がっている。
2007年のシングルセールスの世界的ランキングのトップ10では、1位のアヴリル・ラヴィーンに続いて、宇多田ヒカルの「Flavor of Life」が2位にランクイン。人気シンガーのビヨンセは10位にとどまっている。
また、医学生4人組のバンドGReeeeNのシングルは400万以上のダウンロードと、30万以上のシングルCDのセールス、さらに携帯でのダウンロードも100万回以上を記録。関西のストリートシーンからアーティストを発掘するプロジェクト「REAL STREET PROJECT」から誕生したバンドRSPも大きな売上を上げたとして紹介されている。
しかし、2007年には何100億もの違法なファイルがネット上で交換され、違法なダウンロードは合法なダウンロードの20倍。デジタル音楽の売上の成長率40%によっても、世界的なCDセールスの落ち込みをカバーすることはできなかったと同レポートは指摘している。
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