人工知能/IoTのトップランナーと考える未来
パネル冒頭でモデレーターのHEART CATCH西村氏から、今回のパネルトークの4つのテーマが発表された。
- AIとIoTの定義
- AI, IoT採用検討者が陥りがちな勘違い
- トップランナーによる5年後、10年後の予測
- 企業、マーケターはどこから何からスタートすべきなのか
このテーマで意見を交わすのは、FRONTEOの武田秀樹氏とCerevoの岩佐琢磨氏だ。
武田氏は15年間、主に自然言語処理分野でアプリケーションを開発。ビジネスの現場で役に立つものを一貫して開発し続けている。武田氏が取締役CTOを務めるFRONTEOは、「KIBIT」という人工知能のエンジンをベースに事業を展開する。「KIBIT」はテキストの解析に特化したエンジンで、少量の学習で機能する点が特長だ。同社はこれらの技術により、ビジネスの生産性を向上する支援を行う。
岩佐氏が代表取締役を務めるCerevoは「グローバルニッチ」を標榜し、「1か国で100個売れるものを、100か国で売る。そうした商品を100品目作る」というストラテジーを採るメーカーだ。現状では26商品を展開し、少量生産で世界に進出する、ユニークなものづくりをしている。
商品の一例として岩佐氏が挙げたのが、カメラを繋ぐだけでインターネットに映像の生配信が高解像度でできる「ライブシェル」、家庭用ロボット「ティプロン」、音声を認識して形を変えたり消灯したりするデスクランプの「ルミジェント」などだ。
AIとIoTの定義とは何か?
ここからは本題に入っていきたい。まずはAIとIoTの定義だ。
武田氏は「実用化が進んでいるとはいえ、AIは汎用であるイメージが強い」という問題点を指摘した。武田氏によれば、近年はAIを実際のビジネスで使うケースが増えているが、AIは万能ではないとわかっているつもりでも、実際に現場で使おうとした時に万能であるような錯覚を抱いてしまうことが少なくないという。
「現在のAIは特定の領域に特化したものだと考えるべきです。なんでもできる汎用AIの到来はまだまだ先」と武田氏は強調する。
続いて岩佐氏が、IoT業界から見たAIについて持論を述べた。岩佐氏にとってAIとは「判断ロジックとデータベースの組み合わせでしかなく、それが年々改良されているにすぎない」という。
IoTの定義はさらに複雑だ。現在、インターネットに繋がっているものだけでなく、スマートフォンと連動するものがIoTと呼ばれている。岩佐氏はこの現状を認めつつも、「個人的にはスマートフォン連携ハードウェアと、インターネット連携ハードウェアというように分けるべき」だと主張した。