無視できない消費者の変化
今、米英を中心に欧米諸国では政治態度を表明する消費者「ポリティカル・コンシューマー」に企業の注目が集まっている。
政治態度を明確に表明する消費者は、自分と同じ政治スタンスを取るブランドを好む傾向が強く、政治スタンスが明確でないブランドは無視されてしまうリスクがあるからだ。
世界最大の広告会社グループWPPの広告代理店ジェイ・ウォルター・トンプソン(以下、JWT)は、2016年末に発表したレポートで企業はポリティカル・コンシューマーを無視できない時代に突入したと指摘している。
米英で特にポリティカル・コンシューマーが注目されるのは、人口動態的な影響もある。英オックスフォード大学のDavid Coleman 教授によれば、英国では人種的・宗教的少数派の人口が2070年頃にはマジョリティを超える可能性があるという。一方、米国でも2020年までに国内の未成年者の半分がマイノリティとなり、2060年までにはすべての人口の半分以上をマイノリティが占めると予想されている(米国勢調査局)。
政治を取り巻く状況が異なる日本でも注目すべきかどうか悩むところだ。しかし、欧米のポリティカル・コンシューマーが主にミレニアル世代やZ世代で構成されていることを考えると、同様の現象が日本でも起こらないとは言い切れない。
そこでJWTのレポートで指摘されている重要ポイントを紹介しながら、4回にわたる本連載を通して、ポリティカル・コンシューマーと企業ブランドの関係について考えていきたい。1回目は、ポリティカル・コンシューマーとはどのような人たちなのか、そしてなぜ今増えているのかについて説明しよう。