「ポリティカル・コンシューマー」とは何か
冒頭で説明したように、ポリティカル・コンシューマーとは、政治態度を表明する消費者のこと。ここでいう「政治」とは支持政党云々という狭義のものではなく、貧困、性的マイノリティ、女性の権利、持続可能性、移民問題、人種差別など社会経済問題を指すものだ。

こうした社会経済問題について明確な態度をソーシャルメディアなどで表明し、同じスタンスを取るブランドを支持し、逆のスタンスを取るブランドに対してはボイコットを呼びかけるなど活発な消費者運動を繰り広げる。
ポリティカル・コンシューマーが登場したのは最近のことではない。しかし、昨年の米大統領選挙や英国のEU離脱国民投票などの政治イベントが、欧米のポリティカル・コンシューマーを活発化させ、その影響力をこれまでにないほど大きなものにしたという。
中心はミレニアル世代とZ世代
ポリティカル・コンシューマーの中心にいるのはミレニアル世代やZ世代と呼ばれる層だ。
ミレニアル世代は1980年代から90年代の半ばまでに生まれた層。Z世代は1990年代半ばから2000年代初頭に生まれた層。これらの層は、モバイルデバイスを日常的に使用し、ソーシャルメディアを駆使した情報発信・ネットワーキングを行っている。また、新聞などの既存メディアはほとんど見ることがなく、情報はインターネットやソーシャルメディアから得ている。

このソーシャルメディアからの情報取得が個人の政治的態度を強固なものにしていると考えられる。
たとえば、Facebookのフィードを考えてみるとわかりやすいだろう。Facebookには自分と似た意見を持つ友達がいて、ある問題に対して同じ視点から意見を交わす。このためFacebookのフィードで反対意見を見ることは滅多にない。
さらには、Facebookのアルゴリズムにより、自分が興味のあるキーワードやインフルエンサーをもとにした情報が流れてくる。こうした情報に毎日毎日触れることで自身の考え・意見が強くなっていく。