ポリティカル・コンシューマーを数字から読み解く
世界最大の広告会社グループWPPのジェイ・ウォルター・トンプソン(以下、JWP)が注目している消費者の大きな変化。それが政治的態度を表明する「ポリティカル・コンシューマー」の台頭だ。
第1回では、ポリティカル・コンシューマーの台頭の背景、そして企業が無視できなくなっている現状を伝えた。今回は、2016年10月に実施された調査で明らかとなった様々な数字からポリティカル・コンシューマーの特徴に迫ってみたい。
日本の消費者とは特徴が異なるかもしれないが、これらの数字がマーケティングやブランディングで仮説を考える出発点になるはずだ。
この調査はJWPの調査部門SONARが米国に住む1,001名を対象に実施したもので、調査結果は、Z世代(12~20歳)、ミレニアル世代(21~34歳)、X世代(35~54歳)、団塊の世代(55歳以上)と4世代を比較している。調査の項目は「政治とメディア」「政治、芸能人、文化」「政治アクティビズム」「政治とブランド」の4つ。各項目から特徴的な数字を見ていきたい。
政治関連情報はテレビとFacebookから得る
「政治とメディア」の項目では政治関連情報の取得・発信手段について質問がなされた。
「政治的議論を見たり聞いたりする上で、どのメディアが重要な役割を果たすか?」という質問では、回答者は、テレビ、ソーシャルメディアのライブ映像、ソーシャルメディアの画像、ソーシャルメディアのコメント、新聞、ソーシャルメディアの動画(ライブではないもの)、雑誌の7つのメディアについてそれぞれ重要性の有無を答えた。
各世代共通でテレビが最も割合が高く、それぞれX世代83%、団塊の世代84%、ミレニアル世代76%、団塊の世代75%となった。しかし、2番目の選択肢に関して、Z世代とミレニアル世代の若者と、それ以上の世代とで明確な違いが見られた。
若者世代は、ソーシャルメディアのライブ映像をテレビに次ぐ情報源として選んだ一方で、X世代と団塊の世代は新聞を選んだ。ソーシャルメディアのライブ映像が重要な情報源と回答したのは、Z世代51%、ミレニアル世代56%。一方、X世代は44%、団塊の世代は24%と若者世代に比べて低くなっている。
ポリティカル・コンシューマーの中核を成すのがミレニアル世代だとすると、ポリティカル・コンシューマーの思想形成の一部をソーシャルメディアのライブ映像が担っていると考えることもできる。ちなみに世代ごとのソーシャルメディア平均アカウント数は、ミレニアル世代5.2個、Z世代4.7個、X世代3.8個、そして団塊の世代2個となっている。
また、「政治的な情報を取得するために、どのソーシャルメディアを使っている?」という質問ではどの世代もFacebookが圧倒的に多く、Facebookが単なる友達同士の情報交換の場を超えて政治的な空間になっていることを物語っている。