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SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

「メディアに載る=生活者に響く」時代は終わった~広報・PRの効果計測に求められる新たな指標とは

SNS上の情報量が増えたことで、数値分析の意義が高まっている

 ご存知の通り、現在、国内のSNS利用者数は世代を超えて増え続けており、SNS上の情報量も膨らみ続けています。これまでは、企業の知名度が足りない、商品の話題に対する情報量が少ない、SNSユーザーの世代の偏りによって、情報が網羅されていないといった問題が見られました。

 しかし、現在では分析を行う上で問題ないレベルの情報量が確保されつつあります。これにより、これまで補助的な立ち位置にあったSNS上の各種データ分析の意義が高まり、これらが広報・PR施策のパフォーマンスをはっきりと表すデータになってきているのです。

 さらに、先ほども述べた「生活者が摂取する情報量の爆発的な増加」や前回の記事でもご説明した「商品やサービスの“コモディティ化」といった情報、経済環境の変化により、生活者はこれまで以上に、“他者の評価(口コミ)”を重視して自らの行動を選択する傾向にあります。このように、口コミが生活者に及ぼす影響力の大きさを考えると、今後「エンゲージメント数」が広報・PR施策のKPIとしてより一層重要になっていくのは、必然の流れではないでしょうか。

 ただ、その計測方法には気をつける必要があります。広報・PR施策の分析で、SNS上の口コミを計測すること自体は今に始まったことではありません。しかし、現状は、Twitterなど限定的なプラットフォームで話題の推移を把握する程度の分析が主流です。

 本来、定量的なパフォーマンスを評価するのであれば、Twitterに加えて、FacebookやInstagramなど主要プラットフォームを横断してリサーチすることが重要です。また、口コミの中身を分析する際も、マーケティング担当者や広告会社などのプロの目でノイズを省き、生活者の意図を正しく分析することが求められます。

エンゲージメント数の競合比較例
エンゲージメント数の競合比較例

 ※「エンゲージメント数」がもたらすマーケティングへの影響については、本連載の過去記事「ソーシャルメディアから読み解く、『シン・ゴジラ』『君の名は。』ヒットの理由」をご参照ください。

最終的には、広報・PR施策が「売上」にもたらす効果まで計測

 では、広報・PR施策のパフォーマンスが「エンゲージメント」によって定量・定性的に分析可能になるとして、それらの施策がマーケティングのKGI(販売数、売上など)に対してどの程度貢献しているのかを、どう評価すべきでしょうか?

 これまで、SNS上でのブランディング施策やオンライン・オフラインのPR施策などは、実際にどのくらい売上に貢献しているのかが不明瞭なまま、慣例などで施策を実施している企業が多く見られました。広報、マーケティング担当者にとって永遠の課題ともいえるこのROI分析も、「エンゲージメント数」という客観的な数値を得ることで、解決可能となります。

 同指標をKPIとして、統計解析の手法を用いれば、企業の広報・PR活動がKGIに及ぼす「貢献度」を可視化することが可能です。また、この「貢献度」を元にした予測モデルを策定すれば、投資に対する効果のシミュレーションや投資対効果の進捗管理なども比較的容易に行えるようになります。

 今回は広報・PR施策における効果分析について、新しい指標である「エンゲージメント数」と「エンゲージメント数」が意味を持つようになった背景、また、この数値を元にしたKGIへの「貢献度」分析などについてご紹介しました。生活者のコミュニケーション環境の変化に応じて、企業が手がける広報・PR施策の企画方法とそのパフォーマンス評価についても、新たなスタンダードを体系化する時が来ていると強く感じています。

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この記事の著者

物延 秀(モノノベシュウ)

スパイスボックス 副社長。2006年スパイスボックス入社。プロデューサーとして大手企業のデジタル・コミュニケーションをワンストップで支援し、2012年以降はソーシャルメディアを中心とした「共感」と「話題」を生むコンテンツのプランニングとプロデュース、自社ソリューション開発を統括。2016年に事業統括責任者および執行役員に就任。2017年より現職。自社サービス:インフルエンサーマーケティング支援「TELLER」、コンテンツマーケティング支援「BRAND SHARE」、ROI分析プラットフォーム「THINK」、自社メディア:「newStory」自著:『新ヒットの方程式』~ソーシャルメディア時代は、「モノ」を売るな「共感」を売れ!~(宝島社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/07/04 08:00 https://markezine.jp/article/detail/26710

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