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検索連動型広告のマッドサイエンティストが語る、Googleショッピング広告の「10の仮説」


インプレッション数の差は広告の掲載順位によるもの

  仮説2の検証により、価格の安い商品は高い商品と比較してインプレッションボリュームが大きい傾向にあるということがわかりました。では、CTR(≒品質スコア)がほとんど変わらないにも関わらず商品の価格によってこのような差が出るのはなぜでしょうか?その仮説をAndreas氏は “Product price determines an ad’s position”(商品価格は広告の掲載順位を決定する)と設定し、実際に検証したとのことです。

 具体的には、仮説2の検証の際に使用した2つの商品グループの検索クエリ合計4,000件を入力し、各クエリごとに表示されたショッピング広告の中で最も安い商品の掲載順位を商品グループごとに検証するというものです。その結果、下記のように最も安い価格を表示した広告が両商品グループ(Set1とSet2)においても60%以上掲載順位が1位(Pos1)との結果が出たとのことです。

Image source: Reverse Engineering Google Shopping – 10 Hypotheses Tested

 商品価格以外で広告の掲載順位に影響を与える大きな要素として、Andreas氏は販売者評価(Seller Rating)の有無をあげています。下記の例では、最も商品価格の安い“Surfdome DE”の掲載順位は7位となっていますが、この理由として販売者評価が表示されていないことが考えられるといいます。

Image source: Reverse Engineering Google Shopping – 10 Hypotheses Tested

入札単価を上げるのではなく商品価格を下げる

 ここまでの検証で、商品価格が安い方が広告の掲載順位が1位になりやすく、結果としてインプレッションボリュームが価格が高い商品と比較して大きくなることが明らかになりました。では、入札単価はインプレッションボリュームにどれほど影響するのでしょうか。

 価格の安い商品グループと高い商品グループに同様の入札単価を設定し、徐々に入札単価をあげていくことで “Bids are the most important factor for generating more traffic”(入札単価はトラフィックを獲得するのに最も重要な要素である)という仮説を検証した結果が以下となります。

Image source: Reverse Engineering Google Shopping – 10 Hypotheses Tested

 縦軸左が1商品ごとのインプレッション数、縦軸右が入札単価(上限CPC)となります。上記の通り、入札単価を段階的に引き上げていったところ、価格の高い商品のインプレッション数と入札単価には相関関係がみられたものの、価格の安い商品に関しては入札単価が0.8ドルあたりからインプレッション数が高止まりしています。

 また、価格の安い商品は最初の段階から価格の高い商品と比較して非常におおきなインプレッションボリュームがあります。このため、入札単価を1.2ドルまで引き上げてもインプレッションボリュームは逆転していません。

 入札単価を引き上げることにより、インプレッションボリュームに多少の増加はみられました。では、入札単価を変えずに商品価格のみ変更した場合、インプレッションボリュームにどれぐらいの影響が出るのでしょうか。それを検証した結果が下記となります。

Image source: Reverse Engineering Google Shopping – 10 Hypotheses Tested

 具体的には、最も安い商品の価格を同カテゴリーの最も高い商品の価格まで引き上げ、価格変更前後でのインプレッションボリュームをみるというものです。上記の通り、価格を値上げしたTestグループはインプレッション数が59%減少、価格の変更をしていないContorlグループを含むアカウント全体のインプレッション数は同期間に12%増加していることから、価格の変更はインプレッションボリュームに非常に大きなインパクトを与えたことがわかります。

 Andreas氏は上記の検証結果をもとにさらに議論を展開させ、入札単価を引き上げてショッピング広告への投資額を増やす(下記の1“Primarily invest in Google budget”)よりも、入札単価はそのままで商品価格自体を下げる(下記の2“CPCs, cheaper products”)方がより多くのトラフィックの獲得につながり、結果として同じ利益で売上を拡大することができる(下記 “Resulting revenue”の2)ケースがあるといいます。

Image source: Reverse Engineering Google Shopping – 10 Hypotheses Tested

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商品価格にメスを入れるという斬新な着眼点

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この記事の著者

高瀬 優(タカセ ユウ)

アタラ合同会社 コンサルタント。国際基督教大学(ICU)を卒業後、総合電機メーカーで自社製品の法人営業ならびに販売推進業務に従事。その後、自身がリーダーおよびマネジメントを務める音楽バンド活動に専念し、CDの全国流通や全国ツアー等積極的に活動を行う。2016年よりアタラに参画し、国内はもちろん、グローバルに事業を展...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/07/19 15:58 https://markezine.jp/article/detail/26753

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