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検索連動型広告のマッドサイエンティストが語る、Googleショッピング広告の「10の仮説」


Googleショッピング広告における「10の仮説」

 Crealyticsはドイツに本社を構える検索連動型広告ならびにGoogleショッピング広告(以下、ショッピング広告)の最適化ソフトウェアを提供するベンダーならびにエージェンシーで、グローバルで事業を展開しています。

 同社クライアントのショッピング広告への年間投資額は総額で約1億ドルとのこと。この点から、ショッピング広告に関する膨大なデータが集まってくることが伺えます。そしてクライアントのショッピング広告への投資額が年々増えていることから、その重要性を察知し特に力を入れているようです。しかしその一方で、テキスト広告と比較してオークションのメカニズムはブラックボックスな部分が多いと感じており、今回の検証を実施したとのことです。

 Andreas氏は以下の「10の仮説」を検証し、本セッションではそのうち7までの検証結果を紹介していました。

1. A very granular account structure harms performance
2. SKU Price mainly influences CTR, but not impression volume
3. Product price determines an ad’s position
4. Bids are the most important factor for generating more traffic
5. Titles are the most important feed element
6. Changing titles leads to a loss of history and therefore a loss of traffic
7. ECPC uses audience information to predict conversion probability
8. Raising bids in Shopping increases share of less relevant Search Terms
9. Matching between query and product is purely based on text match
10. Out of stock products should remain in feed or history is lost

 特に1~4の検証結果は非常に興味深かったので、これから紹介していきます。

アカウント構成の粒度はパフォーマンスに影響しない

 まず最初の仮説は“A very granular account structure harms performance”(非常に細かいアカウント構成はパフォーマンスを低下させる)です。AdWordsヘルプページでは、効果的なショッピングキャンペーンの作成と最適化のティップスの一つとして、最初は大まかなグループで分け、その結果を受けて必要に応じて細分化することが紹介されており、Andreas氏はこのことを指しているのでしょう。

 本仮設を検証するために、1)すべての商品をひとつの商品グループに纏める(All in one)2)商品ごとに商品グループを分ける(All their own)3)5クリック以上獲得した商品とそうでない商品を別々の商品グループに分ける (From 5 clicks)、という3パターンで、インプレッションした商品点数ならびにインプレッション数の合計を比較、その結果が下記となります。

Image source: Reverse Engineering Google Shopping – 10 Hypotheses Tested

 そして、3)5クリック以上獲得している商品とそうでない商品を商品グループに分けた場合が、インプレッションした商品点数ならびにインプレッション数の合計が最も多かったものの、他のパターンとの差異はほとんどなく、アカウント構成はパフォーマンス(インプレッション数)にほとんど影響しないと結論づけていました。

 一方で、拡張CPCや目標広告費用対効果(ROAS)のAdWordsスマート自動入札を適用する場合は、最適化を進めるにあたって1つの商品グループが週に 200件以上のクリックを獲得するように構成することが推奨されているため、別途検証が必要であることも補足していました。このことから、本検証においては個別クリック単価を使用していたことが伺えます(参考はこちら)

価格の5%値上げにより、クリック数が60%減少

 2つめの仮説は“SKU Price mainly influences CTR, but not impression volume”(SKUの価格は主にCTRに影響するが、インプレッションボリュームには影響しない)です。Andreas氏は下記のasicsの事例をあげ、Google商品カテゴリでスニーカーに分類されるある商品の価格を5%値上げしたところ、値上げ前と比較してクリック数が60%減少するという現象がみられたことから、本仮設を検証したといいます。

Image source: Reverse Engineering Google Shopping – 10 Hypotheses Tested

 具体的には、1つのECサイトが取り扱う商品を、1)市場平均より5%以上価格の高い2,000の商品グループ(以下、expensive products)と、2)市場平均より5%以上価格の安い2,000商品のグループ(以下、cheap products)で分け、それぞれの商品グループのパフォーマンスを比較して検証、その結果が下記となります。

Image source: Reverse Engineering Google Shopping – 10 Hypotheses Tested

 CTRはexpensive productsとcheap productsでほとんど変わりませんが、インプレッション数(Imps)に関してはcheap productsがexpensive productsと比較して134%も多く、非常に大きな差がみられたとのことです。

 すなわち、”SKU Price mainly influences CTR, but not impression volume”(SKU の価格は主にCTRに影響するがインプレッションボリュームには影響しない)という仮説は証明されず、実際は“SKU Price mainly influences impression volume, but not CTR”(SKU の価格は主にインプレッションボリュームに影響するがCTRには影響しない)という結果が出たということになります。

 CTRはほとんど変わらないことから、インプレッション数の差異≒トラフィックの差異となりますので、価格の安い商品の方が価格の高い製品と比較してトラフィックを獲得しやすいことになります。

次のページ
インプレッション数の差は広告の掲載順位によるもの

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この記事の著者

高瀬 優(タカセ ユウ)

アタラ合同会社 コンサルタント。国際基督教大学(ICU)を卒業後、総合電機メーカーで自社製品の法人営業ならびに販売推進業務に従事。その後、自身がリーダーおよびマネジメントを務める音楽バンド活動に専念し、CDの全国流通や全国ツアー等積極的に活動を行う。2016年よりアタラに参画し、国内はもちろん、グローバルに事業を展...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/07/19 15:58 https://markezine.jp/article/detail/26753

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