ディシュレル氏の発言から読み解く、3つの取り組み
では、これら3つの取り組みに対する、ディシュレル氏の発言を紹介していきます。
1、Google アトリビューション? 機械学習によるさまざまな自動化は進む
「モバイルがメインストリームになる中、アトリビューションはさらに重要です。マーケターは、マーケティングチャネル全体で適切な評価と予算配分をする必要があります。それを大量のデータで機械学習をかけ、広くAdWordsユーザーに使ってもらえるように本機能を無料で提供しています。
Googleアトリビューションは、AdWordsとDoubleClickのデータをカバーし、選択したアトリビューションモデルで分析を実行し結果を表示してくれます。また、一定のデータ量があれば、アカウントに蓄積されたデータを使って、ビジネス目標にどの広告、どのキーワード、どのキャンペーンが最も貢献したかを自動的に判断するデータドリブンアトリビューションモデルを使うことができます」
ディシュレル氏は、数多くのマーケターと対話している中で、2017年はラストクリック評価から脱却する元年であるという感覚を持っているようです。これまでもAdWords、Google Analytics、Adometryなど、アトリビューションに対する取り組みはしてきましたが、どれも決定版とは言えませんでした。今回はGoogleのプラットフォーム、データ資産を横断したソリューションに仕立てあげてきたところからしても、本腰を入れて広告効果の適切な評価と予算配分を推進しようとする意気込みが感じられました。
「Googleアトリビューションのコアにもなっていますが、機会学習の技術は、自動入札、マッチング、アトリビューションなど、かなりGoogleの広告プロダクトで広範に使われています。広告運用に伴いユーザーにかかるさまざまな負荷を下げて、システムの自動化ではまだ当面は対応できない、さまざまな広告戦略の策定と実施にフォーカスしてもらうのが主眼であるとしています。つまり、機械学習による自動化は進むというのが自然な考え方であるとしています。
これまで運用型広告の従事者は、自身のキャンペーンにおけるさまざまな変数に対して、主導権を持って取り組めましたが、将来的には、ディープニューラルネットワークの動きのように、キャンペーンの入力データの『インプット』に対するコントロールは引き続きあるものの、機械学習による処理でブラックボックス的に出力される『アウトプット』に対しては、信用し、受け入れていくことがより求められるでしょう」
2、オーディエンスターゲティングはより精度と柔軟性を高める
「検索広告向けリマーケティング(RLSA)、カスタマーマッチ、類似ユーザー機能に加え、検索連動型広告で『購買意向の強いユーザー層』が実装予定です(今秋頃かと思います)。なぜ今、検索に対してこの機能なのかという質問に対しては、AdWordsの論理的な進化の一環だと考えています。
冒頭でも触れましたが、生活者は短い時間の中で、適切な情報に、早く到達したいというニーズを満たすためにはオーディエンスデータは重要なのです。この次は何か?という質問に対しては、まだまだやれることは多いと思います。購買意向の強いユーザー層もまだセグメントとしては一部なので、それを拡大しないといけないです。類似ユーザー機能もバージョン1なので、より精度を高め、柔軟なものにできる余地はあります。今後半年から1年間にかけてはそういったことに注力していくでしょう」
3、モバイルでの体験をさらに改善? 検索連動型広告とディスプレイ広告のAMP化
「AMP(Accelerated Mobile Pages)対応のベータ版がリリースされましたが、ユーザーは一刻も早くAMP化に取り組むべきなのか?という質問に対しては、そもそも広告主は優れたモバイルサイトを持つことが必須です。その上で、次にページのロード時間の課題にぶつかります。3秒以上ページのローディングにかかる場合、50%のユーザーは放棄してしまったり、ロード時間が1秒加算される毎にコンバージョン率が20%落ちるというリサーチ結果もあります。ロード時間が速いと、よいことが多いのです」
「AMPのトラッキング問題に関しては認識しており、すべてのトラッキングがAMPで問題なく実装できるように考えています。とりわけ、Google Analyticsでの対応は数ヵ月中にローンチを期待できるかと思います」
「ただ、ユーザーにはサイトの一部を使って、早期に実験することをおすすめします。初期のパイロットユーザー広告主においては、ページロード時間が5~7倍改善したり、コンバージョン率も大きく改善するなどの結果が出ています」
