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popInと探るマーケティングの新潮流(AD)

パラマウント基準をクリアした“トランスフォーム”動画広告 クリエイティブ魂で話題化狙う

  ユーザーの体験は、便利なほうへ、快適なほうへとどんどん当たり前になっていく。そろそろスマホの動画広告も、縦動画というだけでは話題にならないのでは――。そんな考えを背景に企画されたのが、8月4日に公開を控える映画『トランスフォーマー/最後の騎士王』のプロモーションに導入された“トランスフォームする”動画広告だ。同作品のオンラインプロモーションを担当したガイエのミスターTは「重視したのはPVよりエンゲージメント。ギミックが目立つと拡散性も高まる」と語る。ガイエとネイティブ広告を手がけたpopInに、企画の舞台裏を取材した。

映画のプロモーションに縦動画を活用

MarkeZine編集部(以下MZ):動画広告も手法としてすっかり定着しましたが、ある程度の時間を取ってしまう性質上、視聴完了や拡散性を高めるには一定の工夫が必要だと思います。今回は、映画『トランスフォーマー/最後の騎士王』でギミックを凝らした動画広告が展開されたとのことで、企画を手がけたガイエさんとpopInさんにお話をうかがいます。まずは両社の事業と、今回の座組みをご紹介いただけますか?

popIn マネージャー 金谷 徹氏(写真左)ガイエ ミスターT氏(写真右)
popIn マネージャー 金谷 徹氏(写真左)ガイエ ミスターT(写真右)

T:ガイエは映画を中心としたエンタメ・コンテンツにおけるWebプロモーションをトータルパッケージで提供しており、パブリシティ・SNS・制作・システム開発の企画から運営、実施までを行い、またオンライン・メディアバイイングから広告関連事業なども行っています。映画のプロモーションでは作品への理解が広告PRの効果を大きく左右しますが、当社はパブリシティチームと連携したプロモーション展開を強みとし、作品宣伝コンセプトの深い理解を得た上で、バイイングにおける各種メディアの組み合わせなどをプランニングしています。

 今回は東和ピクチャーズ配給の映画『トランスフォーマー/最後の騎士王』のオンラインプロモーションの中で、popInさんとも密になって、動画広告の企画・配信を行いました。

金谷:popInは、メディア向けに記事の読了率を計測できる分析サービスやレコメンドウィジェットを提供する傍ら、広告主・広告会社向けにはネイティブ広告のネットワークを展開し、企画制作から配信、分析と改善までワンストップで手がけています。特に最近力を入れているのは、スマホでの閲覧を前提とした縦動画のネイティブ広告ですね。

レコメンドウィジェット面が“トランスフォーム” 必要だった高いクオリティ

MZ:スマホでのネイティブ動画広告というと、どういうスタイルなんでしょうか?

金谷:ユーザーにスキップされず、自然な流れで触れてもらえるよう、当社ではユーザーが目的の記事を読み終わった後のレコメンド欄への掲載を前提としています。動画自体は、その欄がスクロールされたタイミングで自動再生します。

 特に『トランスフォーマー/最後の騎士王』の動画広告では縦である以上にギミックにこだわって、広告自体が“トランスフォームする”というコンセプトで制作しました。ぜひ、まずご覧いただければ。

MZ:なるほど、確かにトランスフォームしていますね!

T:他にも、こんなバージョンもあります。先ほどお話があった、レコメンド欄に出ることでユーザーの邪魔にならないという点も大事ですが、配信先も本作にメインターゲット層向けの媒体を厳選して、突然動画が始まってもむしろ楽しんでもらえることを重視しました。

MZ:これは、つい人に言いたくなりますね。今回、ミスターTがpopInの動画広告を選んだ決め手はなんだったのでしょうか?

T:いちばん大きかったのは、クリエイティブのセンスと動画制作においての柔軟性ですね。そもそも、洋画の新作映画プロモーションは非常に難しい部分があり、夏休みのような映画の激戦時期にインパクトのある企画を展開しようと思っても、本国の許可がおりないことも多いんです。

本国審査をクリアする高いクオリティが必須

MZ:そのあたりは、今回の映画のプロモーションの課題でもあったわけですね。

T:はい。そもそも、どんな作品であっても映画業界のクリエイティブというものは大切な資産であり、その資産に加工を施すこと自体大きなチャレンジとなってしまいます。特に、『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイ監督は映像に強いこだわりがあることで有名で、そのハードルはさらに高くなってしまいます。

MZ:でも今回、けっこう映像にハサミを入れられてますよね……?

T:そうですね(笑)。ただ、本国に対して、日本でもこんなおもしろいことをやっているんだというアピールも込めて、当社の方から前のめりになって提案させていただきました。

 新作映画はプロモーションのタイミングも限られるので、そこもチャレンジングではありましたが、だからこそ映像にギミック加工を施してもアプルーバルが通るくらい、クオリティの高いものに仕上げる必要があったんです。

 今回タッグを組むにあたって、popInさんの過去の事例のクオリティや広告としてのパフォーマンスを見せてもらい、きっとその点をクリアできると判断しました。私自身は動画のディレクターではないので、具体的な案は金谷さんから多数いただけたのがありがたかったです。

MZ:それで、実際に本国のチェックはどうだったんでしょうか?

T:正直いくつか指摘は入りましたが、本国からお褒めの言葉をいただいたものもありました! 日本でもここまでやれるということを示したい気持ちがずっとあったので、やり抜けて良かったです。

金谷:むしろ、本編の何分あたりの映像を使っているのか教えてほしいといわれて、ソースを出しました。もし向こうでも宣伝に活用する考えなら、光栄ですね。

固定ファンの熱量をいかに上げられるか

MZ:popInは配信ネットワークに強みがあるイメージが大きいのですが、制作にも力を入れているんですね。

金谷:主力事業は確かに配信ネットワークですが、我々はメディアとも向き合っているので、下手な広告は流せないといつも思っています。クオリティが低いと広告主の目標を達成できないだけでなく、それを流すメディアにも失礼になってしまうので、実力のある映像クリエイターをそろえています。

 彼らはそもそも映画好きなので、マイケル・ベイ監督の映像を自分で触れるなんて夢のようだと、今回は本当に喜んでいましたね。

MZ:そうなんですね。配信について、先ほど本作のメインターゲット層向けの媒体に絞ったというお話がありましたが、今回のターゲットはどう捉えているのですか?

T:もう10年続いているシリーズという事や、日本のアニメや玩具からのファンである30~40代男性の固定ファンがある程度います。ただ、同時期に封切りとなるライバル作品も似たようなファン層を抱えているので、今回はプロモーション全体としても「固定ファンの熱量をいかに上げられるか」という部分がテーマになりました。

 popInさんの動画広告でも同様に、そのメインターゲット層である30~40代男性ファンに向けて、いかにアテンションを獲得しエンゲージメントを高められるかという観点でみています。popInさんの動画広告自体、強く興味喚起できる仕組みだと思っていますが、配信先が事前に把握できるため、配給への説明責任としてもターゲットにしっかり届く点でとても相性が良かったですね。

動画広告として配信+公式SNSで拡散

MZ:広告が話題になるという点では、SNSでの拡散も欠かせないと思います。その点で工夫されたことなどはありますか?

金谷:当社はあくまでブラウザへの配信を事業にしているので、再生後にSNSのシェアボタンを入れていますが、映画の公式SNSで流す用には映像素材自体を提供しているんです。

MZ:そうなんですね!

T:それはすごくありがたかったですね。なので公式SNSでも活用しています。

金谷:せっかく制作したので、どんどん二次利用していただきたいんです。

MZ:もちろんシェア数などは効果指標のひとつだと思いますが、他の効果指標や、今回の目標などはありますか?

T:再生後に「公開日登録」ボタンを設けて、ユーザーが使っている任意のカレンダーへの登録を促しています。本当に劇場に行ったかまでは確認できませんが、これもCTAとして追っています。

 今回はそもそも配信先を絞っている上に、ユーザーが目的の記事を読んだ後のレコメンド欄で接触するので、インプレッションはそこまで気にしていません。むしろ、エンゲージメントですね。再生後のリプレイや、SNSシェアボタンのクリック数、公式サイトへの遷移率はコンバージョンとしてみています。

広告もコンテンツとしておもしろければ広がっていく

MZ:金谷さんにうかがいますが、やはりもうこれからは“スマホ動画は縦”なんでしょうか?

金谷:そうですね。当社の調査データでも、たとえば映像作品や番組を見るならスマホを横にしてじっくり見る人が大半ですが、普通にスマホを使っていて動画広告に接触したとき、わざわざ横にする人はほとんどいません。

 ただ、今は縦動画がめずらしくても、すぐに話題にならなくなります。なので今回のように、広告でも純粋におもしろいと思ってもらえることが大事だと思います。アドブロックの話も聞きますし、業界では広告は嫌われ者だという向きが一般的かもしれませんが、広告もおもしろければ拡散されると思うんです。

MZ:広告の入れ位置にもよりますよね。ユーザーの読みたい記事の後に入れるといった姿勢も、今のお話に通じると思います。

金谷:今回の広告も、ユーザーが邪魔だと思う位置に入れたらそれはマイナスなイメージになるはずです。ユーザーの邪魔にならず、かつギミックで驚きや楽しさを追求すれば、広告も人に伝わるコンテンツになると思っています。

MZ:ありがとうございました。今回の広告は今まさに配信中で結果が今から楽しみですね。最後に今後への期待などをうかがえますか? それとこのままだとマスクを外すタイミングなく取材終了となりますが、それでよいのかも合わせて教えてください。

T:……。今後は、たとえばストーリーと絡めて、ゲーム感覚で再生完了や公開日登録を促したりもしてみたいですね。そうした形でのエンゲージメント構築に期待しています。

金谷:……。縦の動画広告は、テレビ局の番組宣伝を中心に事例が増えています。今後もクリエイティブにこだわって、実績を重ねていきたいです。

ミスターTの正体は……ガイエ 第1事業部 プロモーショングループの東 佳秀さんでした!
ミスターTの正体は……ガイエ 第1事業部 プロモーショングループの東 佳秀さんでした!

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/07/25 11:00 https://markezine.jp/article/detail/26797