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CXの意味、勘違いしていませんか? ゼロスタートがレビューエンジンの提供で目指す、本当のCXとは

 EC商品検索・レコメンドエンジンを提供するゼロスタートは、マーケティングソリューションのブランド「ZERO ZONE」から、CX(カスタマーエクスペリエンス)に基づくソリューションとしての明示を図り、2017年5月よりブランド名を「ZETA CX」へと一新した。そこでCX重視の今後の方向性や、新たにリリースしたレビューエンジン「ZETA VOICE」の必要性について、同社代表取締役社長の山崎徳之氏に話を伺った。

ブランド名を一新した理由

 2017年5月、1年以上の開発期間を経て満を持してゼロスタートがリリースしたのが、レビューエンジン「ZETA VOICE」。一方で、なぜレビューエンジンなのか? マーケティング上の強烈な一手となり得るのか、と疑問に感じる人はいるかもしれない。

 この実現には、同じタイミングでゼロスタートが、EC商品検索・サイト内検索エンジンとして定評のある「ZERO ZONE シリーズ」を「ZETA CX シリーズ」へと名称変更した背景に通じるものがある。そこで、本記事ではゼロスタートが主力サービスのブランドを一新した背景に触れながら、新たにレビューエンジンを提供する意義を追いかけ、今後の最適なマーケティングソリューションの可能性を探る。

 最初にブランド名を変更した狙いを聞いたところ、ゼロスタートがマーケティング全般のソリューションで重視する「CX(カスタマーエクスペリエンス)」という概念を、もっと鮮明に打ち出しながらサービスを提供したいからだと、代表取締役社長の山崎氏は解説する。

 「マーケティング業界では、バズワードやトレンドが激しく変化しています。その中で我々は、バズワードに右往左往せず、流行りに乗った表面的な活動をすることはありませんでした。バズワードに振り回されず、流行りの言葉になびかず、自分たちの主張を一貫して表現できる言葉を、ここ6年ほど探し続けてきました。そして、ようやくしっくりきた言葉が『CX(カスタマーエクスペリエンス)』でした」(山崎氏)

 「“おもてなし”や“接客”、最近だと“パーソナライズ”といった言葉は、ゼロスタートが体現したいことに近かったものの、最適な表現だとは思っていませんでした。今年の春、渡米中にイベントに出席した際、米国ではCXという概念が根付いていることを体感したと同時に、ゼロスタートが体現したいこととCXの概念がはっきりと一致していたんです」(山崎氏)

日本で起こるCXの勘違い

 山崎氏は続けて、「共通したキーワードがないため日本と米国でCXは異なる意味になってしまい、その結果CXという言葉の浸透が妨げられている」と指摘する。

 「日本では『customer』を“顧客”と直訳して購入後のお客様を表し、『consumer』を“消費者”と直訳して購入したかどうかを抜きにした一般的な消費者と捉えています。本来英語では『consumer』とは購入して消費している状態の人を意味しており、『customer』とは購入する・しないに関わらず広義でお客様、日本で言う一般消費者の意味に近い捉え方をしています。

 つまり日本と米国において、この2つの言葉が反対の意味で使われている一面があるため、本来のCXが持つ概念を捉えにくくしているのです」(山崎氏)

 さらに山崎氏は、「CXこそ、あらゆるマーケティングキーワードを内包する概念」だと語る。実際、ビッグデータやオムニチャネル、AIなどはすべてCXをより良いものにするための手段に過ぎないのだ。

CXを追求すると得られる「商品の本質的価値」とは

 では、CXを追求すると、何が得られるのだろうか。山崎氏はそれを「商品の本質的価値」という言葉で説明する。

 「今、私の目の前にボイスレコーダーが置かれていますが、このボイスレコーダーの価値は、人によって変わります。かつ、先週時点と現時点で違う可能性もあります。たとえば、今週になって後継機種が出たら、目の前のボイスレコーダーの価値は下がるでしょう。後継機種によって大きな値下げが行われれば、逆に価値を感じやすくなるかもしれません。

 人によって、本質的な価値というのは違います。CXを追求すると、価値を感じる条件を発見しやすくすることができるのです」(山崎氏)

 この説明をより具体的にイメージするために、商品を検討する場面を思い浮かべてほしい。「自分にとって、この商品がふさわしいかどうか」といったことは誰もが知りたいはずで、特に機能性が求められる商品に関しては、なおさら本質的価値を把握したいだろう。

 「車、洋服、時計など、他者からの見え方も重視された商品は除き、多くの企業で行われているこれまでのイメージ先行の広告では商品の本質的価値を伝えるのは難しい。すなわち、広告による上書きされたイメージは参考(購入の決め手)にならないということです」(山崎氏)

 さらに現代はスマホファースト。いつでも様々な情報が手軽に確認できる。企業から発信する情報の他にも、インフルエンサーが発する情報、消費者の口コミといった幅広く大量の情報が見られる状況にあるのだ。

「商品の透明性」を実践した表示ができるか

 こうした現状を踏まえ、ゼロスタートが提供を開始したのがレビューエンジン「ZETA VOICE」だ。

 「これも対外的に語ってきたことですが、昨今オウンドメディアのアーンドメディア化が進んでいます。たとえば、Amazonはオウンドメディア、アーンドメディアどちらに属しているかを考えてみましょう。私はどちらとも属したメディアだと考えています。というのも、米国では口コミを確認するためにAmazonを閲覧するユーザーもかなりの数います」(山崎氏)

 口コミを見ると商品の素の姿が見えてくる。広告で作り込んだイメージ写真ではなく、消費者が撮影した投稿写真のほうが、商品の本質的な価値が伝わりやすいという。

 「海外だと、日本よりもはるかに返品率が高いんです。店頭だと、購入カウンターの横で返品カウンターが、しかも存在感を放ってエリアを占有するほどの店舗があるくらいです。今後は、どれほど商品が売れているかではなくて、どれほど商品が返品されているか、情報としては都合の悪い返品率や返品数の順番で商品の並べ替えができるようにもする。こうした情報も含めた全開示こそ、ゼロスタートでは“商品の透明性”と呼んでいます」(山崎氏)

 ゼロスタートでは、この透明性の向上に向けた取り組みを現在模索している。たとえば、返品率の他にも価格の推移、在庫数、納期、カスタマーサポートの満足度など、あらゆる観点で商品の確認できるようにするのも今後可能にしたいという。各条件を揃えて、選べて、ソート(並べ替え)して表示できる仕組みがあれば、自分の中にある商品の本質的価値の順番で表示できるようになるからだ。

レビューが促す購買行動

 先述したように、商品や付帯情報よりも、レビューそのものを見にきている人も一定層いる。では、レビュー自体は商品の購買にどのくらいつながっているのだろうか。

 「米国のECでは、0レビューの商品が1レビューになるとCVRが10%リフトするそうです。つまり、3%だった場合は3.3%にリフトします。そして30レビューになるとCVRが1.5倍、50レビューだと約2倍になるという興味深いデータがあります。また、レビュー数が20件で平均評価が5点中4点の商品より、レビュー数が100件で評価が5点中3.5点のほうが売れるという統計も出ているそうです。レビューの母数も重要で、CVRを高めるのに寄与しています」(山崎氏)

 山崎氏は冷静に、「レビューエンジンを導入したからといって、国内の状況が一気に変わるわけではない」としながらも、CXの分析にレビューが浸透していくことも間違いないし、避けられないとの見解を示す。

 「たとえば、売上を前年比で2倍にあげたい場合、先ほどの米国ECの例を引き継ぐと、レビュー数を50に到達するための費用は、売上を2倍にするための広告費より安く抑えられるでしょう。というのも、広告費を通常より2倍にしても売上が単純に2倍にはなりません。広告費を4倍、8倍と増やし集客増を図れれば、どうにか到達できるようになる。であれば、コンバージョンを引き出すためのレビューの活かし方ができると、経済的で、かつ未開拓のマーケティングソリューションになりえます」(山崎氏)

レビュアーにも還元がある仕組みを目指す

 ZETA VOICEは、すでにゼロスタートの既存サービスを導入するクライアント約200社を中心に、採用企業を募っている段階だ。無論、レビューを監督する専門機関の協力も得ながら、ルールに基づくレビューの運用を徹底する。

 将来のレビューを取り巻く状況について、山崎氏はどのような見解を持っているのだろうか?

 「Amazonは1つの軸でしかレビューが付けられない仕組みのため、たまに商品の中身に対する論評ではなく、配送や商品の状態に対する感想や批判が掲載されていたりします。

 そもそも1つの軸でレビューを付けるのは無理があって、人によって評価は千差万別。ZETA VOICEではそうならないよう、価格や品質など様々な観点で評価できる仕組みにします。さらに人気順、レビュアーの評価の高い順などで並べ替えができることで、商品の本質的価値がより浮き彫りになり、商品の透明性に寄与できるようにします」(山崎氏)

 最後に展望を聞くと、2つの未来について踏み込んだ言及があった。

 「1つは、システムとレビュアーのデモグラフィックデータを掛け合わせられるようにしたいです。これが実現できれば、自分と同じ世代だと味の評価が高い、世帯年収が自分に近い人の評価は厳しいなど、評価者のアスペクトと製品およびサービスのアスペクトを組み合わせたレビューが可能だからです。

 もう1つが、レビュアーにもきちんとリターンが得られる仕組み作りです。経済圏の中にレビュアーを入れて、レビューを集約したサイトを作りたい。この文脈の成功例がYouTuber。レビュアーへの還元の仕組みができていれば、レビュアーの本気度を高めることにもなりますし、レビューの質の担保にもつながります」(山崎氏)

 CXに基づくレビューエンジンZETA VOICEが、マーケティングソリューションにどれほどの新風を吹き込むのか。ZETA VOICEの動向に今後要注目だ。

今回記事に登場したゼロスタートのソリューションはこちら!

・消費者からのリアルな声で「本当の価値」を可視化する
 レビューエンジン「ZETA VOICE

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この記事の著者

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/09/04 13:00 https://markezine.jp/article/detail/26860