女性が「ヨコ」より「タテ」を好む理由
スマートフォンをヨコにしての動画視聴に抵抗がある理由を女性に聞いたところ、「面倒」という答えが約半数と圧倒的に。また、20代女性では20.0%が「人目が気になる」と回答しています。一体なぜ、ヨコにするのが「面倒」で「人目が気になる」のでしょうか。

女性がスマホをヨコにしたがらない物理的ハードルとしては、女性はバッグなどで片手がふさがっていることが多い、という点があげられます。前述の調査でも、タテ型動画が見やすい理由として「片手のままで見られるから」という回答も多く見受けられました。
加えて、男性に比べるとスマホで動画を視聴する習慣があまりない、ゲームのヘビーユーザーが少ないなどの理由から、スマホをヨコにする経験が乏しいことも、心理的ハードルの高さに起因しているといえそうです。
冒頭でお伝えした通り、「C Channel」「Snapchat」「SNOW」「Instagram」といった女性の支持を集めるメディア・SNSがこぞってタテ型動画を採用した背景には、特に若い女性を中心にした、「スマホをヨコにしての動画視聴」への抵抗があったといえそうです。その結果、現在、「動画=ヨコ」ではなく「動画=タテ」の視聴方法がスタンダードになりつつあるのです。
タテ型動画のマーケティング活用法とは
こうした視聴環境の変化を踏まえて、企業がマーケティング施策においてタテ型動画を活用する事例が増えています。
まず、2017年7月に公開され大きな話題となったのが、トヨタ自動車「NOAH(ノア)」のスマートフォン用スペシャル動画。同社は女優の新垣結衣さん主演のタテ型動画を制作し、「#金曜日の新垣さん」と題して毎週金曜日にキャンペーンサイトに加えFacebook、Twitterに投稿。一緒に暮らす男女の日常を描いた動画が「彼の目線で楽しめる」と人気を呼び、公式Facebookページでの総再生回数は700万回を超えました。
この動画が人気を呼んだ要因の1つが、人気女優を身近に感じることができるという点。タテ型動画だからこそ、“スマホで撮影された動画”のように見え、それが視聴者に「親近感」を与えているのです。そして、タテ型動画は顔も全身も「タテ長」な人物を“最大サイズで表示できる”というメリットもあり、登場人物によりフォーカスしてその魅力を最大限に伝えることができます。
そして、ファッションブランドの「GU(ジーユー)」は、2017年秋の着こなしを提案する「ROMANTIC TOUCH COLLECTION」として、モデルが次々にコーディネートを披露するタテ型動画を公式サイトで公開しています。モデルの魅力とその世界観を最大限に訴求したタテ型動画が、「モデルが可愛い」「世界観がカッコイイ」とSNSで拡散され話題となっています。
これまで主流だった「ヨコ型動画」は、全画面視聴するためにスマホ本体をヨコ向きにする必要がありました。しかし、広告を届けたい先の女性たちは、スマホを傾けることを面倒に感じていました。かといって、「ヨコにして見てくれないから、全画面表示させるためにタテにする」といったクリエイティブプランでは、女性たちのココロをつかむことはできません。企業のマーケティング施策にタテ型動画を活用する際には、タテ型動画の魅力や特長を踏まえたクリエイティブ設計と、ユーザー体験を阻害しない最適な露出先の確保が必要です。
女性向けマーケティングにおいては「共感」や「感情移入」といった要素が重要なため“モノ”よりも“人物”にフォーカスした広告クリエイティブが有効です。人物を身近に感じさせ、その魅力を最大限に伝えられるタテ型広告は、まさに現代の女性のココロをつかむのに適したマーケティング施策なのです。