求められるフルファネル対応と人基点のマーケティング
電通と電通デジタルは9月、“人”基点で電通グループ内のマーケティング手法を結集・高度化した統合フレームワーク「People Driven Marketing」(ピープル・ドリブン・マーケティング、以下、PDM)を開発。これに合わせて両社は9月14日、同フレームワークに関する説明会を開催した。
最初の挨拶には電通の代表取締役社長の山本敏博氏が登壇し、今回のフレームワークに関する3つのポイントを解説した。
1点目は認知から購入してもらうまでのフルファネルに対応したマーケティングニーズの増加が、開発に至った背景だということ。このニーズに対応するため、同社はグループにあるすべての機能から有効なものをつなぎ合わせて提供する狙いだ。
2点目はデータの先にある、人間に対する洞察が求められており、それは電通が最も得意と知る部分であるということだ。データに表れる人間の行動、意識から潜在的な課題、チャンスを掘り起こして、有効なソリューションを開発。それにクリエイティブとデータを掛け合わせ、PDMを進めていくという。
3点目に山本氏は、電通グループのみで閉じない点を挙げた。志をともにするプラットフォーマーやデータホルダーと連携して統合プラットフォームの提供を実現するという。これら3つのポイントを踏まえ山本氏は、「これらを肝に銘じてクライアントの皆様が感じている切実なニーズに対応できる体制を用意してきました。そして今後も進化させていく所存です」と語り、挨拶を終えた。
人基点のマーケティングが可能になる3つのポイント
続いて、電通デジタルの代表取締役社長COOである鈴木氏が「People Driven Marketingとは」と題した講演を行った。同氏は最初にマーケティングで3つのことができるようになってきていると解説。
まずはターゲット像のよりリアルな視覚化。これは調査データやネット回遊データ、さらには様々なプラットフォーマーやデータホルダーが所有するデータを使うことで、より個人が見えてくるという。電通と電通デジタルはこれに対し、これまで提供してきたパブリックDMPの「dPublic」を「People Driven DMP」(以下、People DMP)としてリニューアルすることで、クライアントの描くターゲット像の明確化を図るという。
2つ目は意識調査などから仮説ベースでターゲット設定を行っていたのが、そこに行動データを駆使することで、より態度および行動変容しやすいターゲット設定が可能になっていること。そして3つ目として鈴木氏は「お客様に寄り添う情報発信」を挙げる。
「様々なデータを統合してユーザーのデモグラフィックや思考、位置行動、モメンタムをつかんで情報をお届けすることが重要です。これを高速でいかに確度高く提供し、満足度を高められるかが現在求められています」(鈴木氏)
そして、これら3つを提供するため、今回電通が開発したのがPDMなのだ。