カンター・ジャパンは、デジタル機器やデジタル関連サービスの消費・利用動向に関する調査「Connected Life(コネクテッド・ライフ)」の結果を公開した。調査の結果、デジタルエコシステムの成熟度の高い先進市場と新興市場とでは、デジタル消費と利用動向に対照的な傾向があることが判明した。
ソーシャルメディアのプラットフォームには不信感が
調査データから、ソーシャルメディアにはフェイクニュースなどの間違った情報が氾濫していることから、ブランド企業により発信されるコンテンツは消費者からの信頼性を失っていることが判明。日本の消費者の35%は、ソーシャルメディアで目にするコンテンツに関して、プラットフォーム側からのコントロールに懸念を抱いていることがわかった。
一方でこの数値はインドネシアでは15%、ベトナムでは14%にまで下がることから、アジア・パシフィック地域の新興市場においては対照的な傾向であることがわかる。
半数以上の消費者が、ブランド企業が保有する個人情報量に懸念
次に日本の消費者の48%は、自分の行動を監視するデバイスに接続することに抵抗感を抱いており、さらに51%の人はブランドが所有している自身の個人データの量に関して懸念を抱いているという結果に。日本を含む先進市場の消費者は、オンライン上で提供している自分の個人情報の量について、より用心深くなっていることが判明した。しかし新興市場のミャンマーでは12%、フィリピンで15%、タイでは25%となっており、これらの国々ではデータを提供する代わりに受け取る恩恵に対する消費者の期待が高いことが伺える。
携帯電話で購入決済希望の消費者は14%のみ
また、携帯電話で商品購入の決済をしたいと回答した日本人は14%で、信用度について慎重になっていることがわかる結果に。この傾向は、アジア・パシフィック地域全体において共通で、消費者の多くはモバイル決済をほとんど受け入れていないことが判明した。これはオーストラリアやシンガポールなどの先進市場にも当てはまり、決済エコシステムが進歩しているにも関わらず、それぞれ53%と42%の消費者は、携帯電話を利用した決済はしたくないと考えている。
反対に新興市場である中国の消費者の64%は、携帯電話での決済を好む傾向にあるが、タイとベトナムの消費者の46%は、モバイル決済を使用したくないと回答した。これには、クレジットカードの所有率の低さや詐欺的商品の多さや物流の未発達などが原因となっているとみられ、革新的なソリューションが求められていることを意味している。
【調査概要】
調査名称:「Connected Life(コネクテッド・ライフ)」
調査内容:媒体の消費、デバイスインフラ、デジタル活動、時間帯別の使用、調査、/購買、回答者プロフィール、分野別タッチポイントおよびカスタマーサービス
調査対象:16~65歳のネットユーザー
調査時期:2017年5~8月
調査方法:主にネット調査(国により、対面などオフラインでの調査)
調査者数:56ヵ国、約7万人
調査主体:KANTAR TNS
【関連記事】
・ブランド価値世界一はGoogle~ランキング上位をテクノロジー系企業が独占【WPP調査】
・InstagramとSnapchatは、ブランドにとって新たなチャンスとなるか【カンター・ジャパン】
・日本はPC利用が中心の国であることが判明/各国で変わるメディア消費【カンタ―・ジャパン調査】
・ジャストシステム、消費者インサイトを探るチャット式インタビューサービス「Sprint」をリリース
・Appier、AIでオーディエンス分析・予測するプラットフォーム「AIXON」を日本で提供開始