テレビCMは「こういうCMがあるんだ」で終わり
彌野:いきなり芸能人に「これいいよ!」といわれるよりも、自分と似た人や同じコミュニティに属する人に言われる方が説得力を感じますよね。
河西:私は、インフルエンサーという立場から色々なものを紹介していますが、純粋に自分が欲しいものを紹介しています。ビジネスであっても自分が本当にいいと思った案件しか引き受けないようにしています。そこが説得力につながるポイントになっていると考えています。
私自身テレビで流れるCMは、女優やモデルに目がいってしまうので、商品にはあまり注目しないですね。「こういう商品が出たんだ!」ではなく「こういうCMがあるんだ」で終わりです。

彌野:知っているけど買わないものって山ほどあって、実は約95%の商品・サービスがこれに当てはまります。購入と認知はイコールではないということです。
やはり購入するのは「買いたい」という明確なニーズが生まれた時。ここまで消費者を説得する必要があるので、「この商品をこうやって使うと、こんなにいいことがあるんだ、なるほどね!」と思わせるくらいの情報量を提供できないと買ってもらえません。
全体的に接する情報量が増えているから、意思決定に至るまでに必要な情報も増加していて、さらに購入することに対して厳選する癖がついてきているのかもしれませんね。ネットでも「厳選〇〇!」といった件名のコンテンツは、クリック率がすごく高いんです。信頼できる人から十分な情報を与えられて初めて買う流れになっているのではないかと思います。
従来の勝ちパターンをどう変えればいい?
押久保:自選より他薦の時代といいますか、他人が薦められることで商品の影響力や魅力が高まるということでしょうか。従来の勝ちパターンと今の勝ちパターンでは、何をどのように変えていけばいいでしょうか?
彌野:従来はインパクトのあるCMを流して認知・記憶してもらい、店頭で「CMで見たものだ」と想起してもらうことで購入してもらうのが、ひとつの勝ちパターンでした。しかし最近は、商品が優れていることを示す情報が3つくらいはないと、コンバージョンに至らないと感じています。
以前はテレビCMと雑誌広告が情報源のほとんどを占めていたので、生活者はその中で優劣を判断できていました。ですがネットであらゆることを調べられるようになった今の時代は、情報源とともに比較対象もどんどん多くなっています。そこで重要になるのが、マーケティングでいうところのカスタマージャーニーを一つひとつ抑えることです。
ソーシャルメディアでは、ユーザーは本当に共感しないとリアクションしてくれません。こちらからユーザーに近づいていく必要があるので、事業やサービス、プロダクト起点で広告を打つのではなく、ユーザーを理解した上で必要なものを必要なタイミングで適切な形で伝えないと、大きく失敗してしまいます。
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