「そのWeb施策は利益にどれだけ貢献したか」を突き詰める
――今日は中古車販売・買取の「ガリバー」を運営しているIDOMでデジタルマーケティングに取り組まれている保坂一慶さんに、「ガリバー」におけるサイト改善によるグロースハック施策についてうかがっていきます。まず、保坂さんの担当業務を教えていただけますか?
保坂:デジタルマーケティングチームで、オウンドメディアのコンバージョン(以下、CV)最適化をミッションとしています。ここでオウンドメディアと呼んでいるのは、ガリバーの中古車買取・販売サイトのことです。
中古車買取・販売の事業はオンラインだけでは完結せず、リアル店舗において売上が立つので、Webでの「買取査定の申し込み」や「店舗への問い合わせ」といったCV数はもちろん、Webからリアル店舗に送客して、成約(中古車の売買)につながりどれだけの利益が生まれたかという数字まで、一気通貫でみています。
あらゆる顧客接点を把握し分析して、最終的な利益が最大になるように、施策に落とし込んで実行しています。
――ガリバーさんほどの大規模サイトとなると、店舗送客につながるCVの種類も回している施策数も相当に多くなりますよね。個々の施策に対する評価は、どのように行っているのでしょうか?
保坂:その点において当社はシンプルで、利益ベースで各CVポイントの成約への貢献度を定点観測しながら、施策の評価をしています。たとえば、各検索ワードからの流入ごとのCVR(問い合わせへの転換率)、成約率やひもづく利益を可視化し、どのLPに着地するとそれら指標がどう変わるのかまで捕捉しています。
ただ、1~2年の間、ツールを用いたA/Bテストなどによって、定量的なデータに基づいた各CVポイントでのCV最大化に取り組んでいたところ、ほとんどの検索ワード群でCVが上昇したものの、手づまり感が出てきていたんです。
A/Bテストでの改善を突き詰め、ユーザー単位の観察がカギと悟った
――具体的に、どういった部分で行き詰まりを感じ始めたのでしょうか?
保坂:検索ワードのほかにLPやフォームなどを調整しても、効果が思うように上がらなくなっていたのです。
そこで、個々のページだけではなくてユーザーの行動を考えることにしました。車の売買は通常、何度かサイトを訪れて調査を重ねてからアクションに進むことが多いので、セッションではなくユーザー単位で行動の流れをみてはどうかと思いつきました。一度はログデータを全部出して、ユーザー単位でみてみたりもしたんです。これはおもしろいなという手応えはあったのですが、当然ログをみるのはとても大変で、途中で挫折しました……。
――Google Analyticsのローデータを使って、いちユーザーの行動を見続けるのは厳しいですよね。
保坂:CVする人の特徴を捉えようと、「効いているコンテンツはこれだ」という仮説を立てて定量で調べてもみたのですが、当たり前の結論しか出せませんでした。この先どうやって施策を精緻化していけばいいかわからなかったところに、「デジタル行動観察」ができるユーザグラムのリリースを見て、ピンときました。
Google Analyticsにも「デジタル行動観察」に似た機能の「ユーザー エクスプローラ」がありますが、ユーザグラムはユーザーの閲覧したページ名をクリックせずに確認できたり、ページごとの滞在時間が秒数レベルでわかったりと、より詳細な情報が得られます。
見やすくて理解しやすいからスピーディに判断して行動に移せるので、サイト改善もひとりで担当していて時間が足りない私にはありがたいんです。