「LINE@」の販売開始から、アカウント申込数は1,670件を突破
販促システムの総合商社として、飲食・物販・サービスなど各業態の効果的な店舗販促をサポートしているクラブネッツ。同社は、店舗や企業の進歩、発展に貢献することを事業のコンセプトかつ経営理念に掲げながら、事業を通して全国の地域経済の活性化にも取り組んでいる。
具体的には、同社が提供する共通ポイント「CNポイント」を軸に、店舗販促を展開。また同時にモバイルアプリを活用した施策やTポイント、クレジット決済などの代理販売、運用サポート、コンサルティングサービスを提供している。
そしてクラブネッツは、2016年1月に「LINE@」の代理店事業を開始した。既に累計申し込みアカウントは1,670件を超え、LINE社の正規代理店としてアライアンス事業も展開している。「LINE@」の代理店事業を開始した背景には、やはりLINEのインフラとしての側面に魅力を感じていたことがある。が、それだけが理由ではないと取締役社長の冨安氏は話す。
「LINEが抱える莫大なユーザー数が、店頭販促施策への武器になることは言うまでもありませんが、それに加えて、店舗とお客様が“友だち”という関係性で簡単にコミュニケーションできる点が『LINE@』の魅力だと考えました。と言うのも、弊社は過去にメール配信サービスも提供していましたが、最近では生活者にメールを届けることが難しくなっていることを感じています。
店舗の販促活動では、店舗からの情報やクーポンを“見てもらう”ことがファーストステップです。日常生活に根付いた場所で、お客様との接点を作ることができる点で『LINE@』は強いサービスだと思います」(冨安氏)
全店舗の施策結果データを横展開し、勝ちパターンを見つける
では、実際に「LINE@」を導入した店舗で上がっている成果をみていこう。野尻氏は、売り上げを10%上げなければ店が潰れてしまう、というところまで追いつめられていた居酒屋A店の事例と共に「LINE@」で見込める効果を説明した。
「結果からお話しすると、A店は『LINE@』導入後、売り上げが16%増加しました。行ったのは、クーポンの配信とそこからのリテンション施策のみで、その他に平行して展開した施策はありません。
『LINE@』で成果が上がる理由には、明確な目標設定が可能になることが大きく関係していると考えています。たとえば、A店は約3,600人の友だちにクーポンを配信ました。そのうち何人が来店してくれたのか、どのくらいの売上につながったのかは、実際に店舗で計測することもできますが、『LINEクーポン』を提示していただくことで店舗スタッフも“最近『LINEクーポンのお客様が増えたなあ”と肌感覚で感じることもできますよね。
店舗経営者にとって、施策の効果をその都度計ることができて、さらにその効果を肌で感じられるのは、とても大きなメリットなんです。目標設定に対して、“数字が伸びる”ことによって、店舗スタッフのモチベーションも随分と向上します」(野尻氏)
また、LINEでのクーポン配信は、内容やクリエイティブによって効果が異なってくる。その参考になるのが上の画像だ。
クーポンを送る時間帯が昼間であれば、あっさりめの食べ物の画像を、夜であればこってり目の画像を送ると反応が良いという。これは、ラーメン店だけでなく居酒屋店などの施策結果を検証した結果見つけた勝ちパターンだ。このように各店舗で展開した施策のデータは、全社的に蓄積し横展開し、店舗へのサポートに活かしている。
さらにクラブネッツでは、店舗で所有している顧客のデータベースと「LINE@」を連携できる、オプションの機能もある。これにより、性別や年齢、誕生日月などのデータに基づき、クーポンやメッセージをセグメント配信することも可能だ。
LINEとメルマガでは、クーポン施策にも歴然の差が
クラブネッツが導入を支援した事例の中で、もう一つ、メルマガとLINEの効果の違いがわかる事例をうかがった。
「これは焼き肉B店の事例です。B店は『LINE@』を導入するまでメルマガでクーポンを配信していたのですが、1週間の期限を付けたクーポンを1,000人に配信しても、来てくれるお客さんは3人のみという状態でした。
そこで『LINE@』を導入して、友だちが500人を超えた段階でクーポンを配信したところ、38人のお客さんが来てくれたのです。母数は半分なのにも関わらず、成果には圧倒的な差が出ました。最初は半信半疑で始めた店主も、この結果には驚いていましたね」(野尻氏)
この事例から、メルマガと比較して、いかにLINEのメッセージがユーザーに受け取ってもらいやすいかがわかるだろう。また「LINE@」は新規顧客の獲得だけでなく、そこからのリテンション施策につなげやすい点に注目すると、現在定番となっているWebサイトへの情報掲載による施策の“穴”も見えてくる。
飲食業では、新規顧客の獲得を狙い、グルメ系のポータルサイトに情報を掲載している店が多い。しかし、ポータルサイトの先にどのような人がいるのか、閲覧者のうち何人くらいが来店してくれたのかを把握することはできない上、エンゲージメントの向上を図ることも難しい。
新規顧客の獲得はもちろん重要だが、リピーターを作る方が、長い目で見ると販促経費の削減にもつながるため効率的なのだ。「LINE@」では、新規顧客の獲得を狙いながら、一度来てくれたお客さんをファンにしていくためのコミュニケーション施策も同時に展開することができる点で、導入した店舗からの反響が大きいのだという。
「LINE@」を新卒営業マンの登竜門に
実はクラブネッツが「LINE@」の取り扱いを本格的に始めたのには、もうひとつの意図がある。それは“新卒営業マンの教育”だ。大阪で西日本エリアにおける「LINE@」の拡大に取り組む高垣氏は、これについて、次のように説明した。
「新卒の社員がそろって苦戦するのは、やはり営業です。しかし、『LINE@』の営業を任せてみると、それまで1件も契約が取れなかった新卒の社員も、毎月数件の契約を取ってくるようになるんです。中には100店舗を超える大型チェーン店の契約を取ってくる子もいました。営業する側もされる側にとっても、LINEが馴染みのあるサービスであることが大きく関係しているのでしょう。
この様子を見ていて“これはイケる!”と思い、今は『LINE@』を新卒営業の登竜門にしています。とはいえ、弊社には『LINE@』以外にも商材があります。『LINE@』をサポートしていく中で、お客様に新たな施策や関連商材のご提案ができるため、最近では新規契約部隊と関連商品の営業部隊とで組織を分けています」(高垣氏)
若手社員を教育するために「LINE@」を活用したところ、新卒者の採用における採算も合うようになったという。実際、クラブネッツが大阪に拠点を置いた2016年の1月当初は、新卒の3人を含む4名体制でスタートした組織が、現在では「LINE@」に携わる営業担当だけで10名を超えるほどに拡大している。
また「LINE@」の全国拡販にあたり、LINE社が営業と導入後のサポート体制を全国的に整えるのには時間がかかる。そこで、LINE社は営業やサポートのノウハウがあり、かつ密に連携が取れている企業を「LINE@」の2次代理店に認定している。2次代理店事業の経営を認められた企業が、全国のパートナー企業と共に「LINE@」を普及しているのだ。
なお、現在上位代理店のみ販売パートナーを増やすことが許可されており、北海道から沖縄まで全国各地にパートナーを抱えているクラブネッツは、「LINE@」の拡販と盛り上げに寄与しているのだという。
代理店の噂 “「LINE@」では利益が出ない” って本当?
最後に今後の展開を尋ねると、冨安氏ら3人は、2次代理店事業を軸に「LINE@」を全国に拡大し、導入店舗やその地域を盛り上げていきたいと話した。
「『LINE@』の代理店事業を始めたいと考えている企業は多いのですが、導入からサポートまで一連のフローにおけるノウハウを一から学んでいくとなると、かなりハードルが高くなります。『LINE@』で事業を展開したいという代理店企業を弊社がまとめて抱えて、しっかり支援しながら、成功事例を作っていきたいですね」(野尻氏)
「LINE@」は、店舗が導入しやすい価格になっているため、代理店では“利益が出にくい商材”だと言われている。そんな中、「LINE@」の拡販を続けてきた結果、クラブネッツは“LINE@でも採算が取れる”“LINE@でも利益を上げることができる”と確信をもっているそうだ。
2次代理店の中には、「LINE@」の事業を始めて4ヵ月目で既に月額100万円の利益を出している企業もある。このような成功事例を作り、「LINE@」の全国拡大に寄与したいと高垣氏も意気込む。
「LINEで売り上げが見込めるようになったことで、我々にとっては組織拡大が現実的なものになりました。若手を早期戦力化できるのも、LINEのポテンシャルの高さだと感じています」(高垣氏)
また冨安氏は、「LINE@」以外のLINEのソリューションとの連携を視野に入れ、目標を語った。
「今後は『LINE Pay』と『LINE@』を連携させたサービスなども始まる中で、最近は大手企業を含め、多くの企業がLINEを入り口とした販促サービスを展開しています。LINEで店舗との絆ができたユーザーに対して、LINEとポイントサービスやスマホアプリなどの販促商材を組み合わせた施策を展開することで、さらなる販促効果を上げています。
これからも弊社や2次代理店、さらには店舗およびその地域の活性化に貢献するために、創意工夫をしながら『LINE@』の普及・拡大を目指してまいります」(冨安氏)