海外クリエイターとの協業も視野に
動画制作の従来的な手法とは一線を画し、動画制作のクラウドを進めるvivitoは、さらなるサービス拡充を目指している。Kaizen Platformも今後への期待が大きいという。
「2020年に控える東京オリンピックに向けて、インバウンド(訪日)およびアウトバウンド(海外展開)を目的とした動画施策が増えると予想しています。我々としては、そのチャンスをつかむためにも、vivitoさんのような企業が動画制作における多言語対応を進めてほしいですね」(岡本氏)
同氏の語る「多言語対応」は、単なる言葉の話ではない。国や地域が違えば、当然文化も異なる。日本で良しとする作法や映像の間合いが通じないというのだ。
「たとえばタイだと、パロディ動画に人気が集まり、動画の尺(長さ)も短いものより長いもののほうが成果につながる傾向があります。これは日本にはない感覚ですよね。『その国や地域ならでは』を捉えられる海外クリエイターや、現地に精通するクリエイターと組める仕組みがあると便利です」(岡本氏)
この要望に辻氏は、構想中の展望を明らかにし、海外クリエイターの発掘と市場開拓への意欲を示した。
「2018年6月には、CRLUOの大幅なアップデートを予定しており、多言語対応も視野に入れて進めています。弊社サービスの強みは、リモートで動画を制作できること。国内外問わず、クリエイターとクライアントの円滑な動画制作環境を実現するのが、私たちの目標です」(辻氏)
加速するインハウス化、どう対応する?
CRLUOは、制作したクリエイティブをアーカイブとして残せる他にも、ビフォーアフターを比較することも可能だ。共通のプラットフォーム上で映像を見ながら説明できるので、言語化しにくい修正指示やクライアントの修正意図も確認しやすく、クリエイターへの負担も軽減される。海外への対応が進むと、ネット環境さえ確保すれば国内外で自在に活動できるようになる。
「将来的には、ターゲットや業種などの情報を入力すると、流行や成果を踏まえて最適なシナリオを自動生成できる機能も追加したいと考えています。最終的には、動画制作の企画から制作、納品までの全プロセスをデジタル上で完結させたいです」(辻氏)
一方、Kaizen Platformが見据える一案は、プラットフォーマー側とのパートナーシップ構想だ。
「プラットフォーマーの多くは、配信ノウハウは持っているものの、クリエイティブの制作ノウハウまでは持っていません。そこで、制作ノウハウを持つ弊社とvivitoさん、プラットフォーマーがタッグを組めば、動画制作の新たな仕組みが作れると思っています」(岡本氏)
最後に辻氏は、動画マーケティングの今後に関して、「インハウス化が加速する」と予測した。
「インハウス化が進むと、社内での分析がしやすくなり、企業とユーザー間のコミュニケーションが健全化していきます。その中で、弊社は丁寧かつスピーディーに対応できる体制を確立します。1日でも早く、ディレクションを含めた動画制作全般をクラウド上で完結できる仕組みを構築して、新時代のデジタル動画マーケティングの一翼を担いたいですね」(辻氏)