動画を見てもらうための「安心感」とは?
一方で動画を「見る」側の視点でも「安心感」は重要なキーワードとなります。FacebookやInstagramなどのSNSでレシピ動画・メイク動画などを紹介するいわゆる“分散型”の動画メディアの中でも多くの女性ユーザーを獲得しているメディアは、この「安心感」を担保していることが共通項として挙げられます。
まずはレシピやメイクのハウツー動画で定番となった“早回し”の編集スタイル。このスタイルは、気が移りやすい女性の視聴離脱を防ぐという効果もあります。さらに、女性にとってじっくりプロセスを見るのではなくスピーディーに完成型にたどりつけることで、“時間をロスしない”という安心感につながっています。
また、これが定番化してフレームとなり、動画の展開がある程度予想できることも見る上での安心感を担保しているといえます。

加えて、食や美容といった身近なカテゴリの身近な商材で、ハウツーが簡単で分かりやすく手軽にマネられる、という要素も分散型メディアには欠かせません。必要な時に能動的に出会うのではなく、SNSの日常の中で偶然性をもって動画に出会うからこそ、「いつでもすぐ役に立つ」という安心感が必要とされるのです。
ムービーネイティブ世代の検索ツールは「YouTube」
現在は動画を“撮る”ことがトレンドとなっていますが、今後、それに続く新しいトレンドとなりそうなのが、動画を“検索する”行為です。
トレンダーズが2018年6月に15~24歳の女性526名に向けて行った調査によると、「美容商品を購入する際にどこで情報を検索していますか?」という質問の回答として1位がTwitter(34%)、2位がInstagram(32%)、そして3位がYouTube(27%)という結果となり、「ハッシュタグ検索」のできるSNSに次いで動画プラットフォームがランクインしています。
さらに10代に関しては1位がTwitter(35%)、2位がYouTube(34%)、3位がInstagram(30%)となっており、YouTubeが「検索ツール」としての役割を果たしている様子がうかがえます。

YouTubeをはじめとした動画プラットフォームは、今では赤ちゃんをあやしたり小さな子供を集中させたりと、子育てに欠かせないツールとなっています。つまり、今の10代は物心がついた頃から動画を日常的に視聴しており、中高生になると自分のスマートフォンを持ち、友達とのコミュニケーションにSNSや動画を利用してきた世代です。
そのため動画を見ることはもちろん、撮ることにも抵抗が少なく、さらには動画プラットフォーム内で検索をするなど、動画を当たり前に使いこなす「ムービーネイティブ世代」なのです。
このような流れを踏まえると、これから女性向けの動画マーケティング施策を考える際には、「見る」行為だけでなく「撮る」「検索する」といった行為も意識する必要があります。
「撮る」行為を促すためには動画クオリティを担保できるフレームを提供するなど、「安心感」につなげることが必要です。また、「検索する」女性との接点を創出するためには、YouTube内での情報量を増やし、再生時間が長く評価の高い動画を作成すること。これらの取り組みを通じて女性たちが主体的に動画と接触するような設計を行うことで、双方向的かつ立体的なコミュニケーションが実現できるのです。
