デジタル時代の今、リコール発生時に求められる企業対応は?
消費者庁のリコール情報サイトを見ると、商品の回収や修理などのリコール情報が日々更新されていることに驚く。従来、大規模な製品リコール情報や各種回収のお知らせなどを告知する謹告広告には、新聞やテレビが用いられてきた。しかし昨今では、メディア接触の変化やさらなる回収率の向上を試みて、オンライン広告を活用するケースが出てきたという。
トランスコスモスで名古屋エリアのクライアントを担当する橋本氏は、実際にあったある企業のリコール事例を次のように話す。
「ある家電メーカー様から、電化製品の回収に関するデジタル広告のご相談がありました。リコール発生時は、新聞で謹告広告を掲載されていたのですが、回収がなかなか進まないという経緯があったそうです。発火や故障の恐れもあるため、消費者保護のためにも、とにかく回収を急ぎたい。より広く情報を届けることができるメディアをお探しでした」(橋本氏)
リコール対応では、場合によっては、関連省庁へ回収率の報告が義務付けられている。また、安全性への関心の高まりや、SNSなどで消費者の声が波及しやすい環境において、企業にはこれまで以上にスピーディーかつ適切な対応が求められていることは明白であろう。
Yahoo! JAPANで謹告広告を掲載し、回収目標件数をクリア
そこで橋本氏は、ヤフーでトランスコスモスの営業を担当している北川氏に相談。本案件は、Yahoo! JAPANの広告枠と、Yahoo!コンテンツディスカバリー(以下、YCD)を活用して発信することになった。消費者からの問い合わせや回収率をKPIとし、通常の広告と同様に運用を行ったのだ。
「対象となるワード、製品名、企業名などを盛り込み、広告を掲載しました。クリエイティブごとに効果のレポーティングを行い、その結果を活かすなどしてPDCAも回しています」(橋本氏)
結果、これまでの謹告広告にかかっていたコストよりも効率よくリーチを獲得でき、回収目標の件数もクリアできたという。出稿企業からの評価も高く、継続的な出稿が検討されているそうだ。
ヤフーの北川氏は、このような事例が昨今増えてきていると話す。
「過去1年間を振り返っても、お詫びや製品回収をお願いする広告などのご相談は増えています。そのため、ヤフーでも従来の広告審査とは異なる確認フロー、体制を整えている状況です」(北川氏)