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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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MarkeZine Day 2018 Autumn

BOTANISTのブランドを築いた、インハウスクリエイティブ集団の感性×データドリブンマーケティング

 ECでの販売から始まり、わずか3年でヘアケア市場の一角を担うブランドになったBOTANIST(ボタニスト)。テレビCMなどのマス広告を打たず、デジタルを起点としたマーケティングで、ブランドを確立してきた。9月20~21日にMarkeZineが主催したカンファレンスイベントでは、株式会社I-neでBOTANISTのブランドマーケティングを手掛ける今井氏と横田氏が、その成長過程を交えながら、高速なデータドリブンマーケティングを可能にする組織体制などを明かした。

マーケ経験者なし、広告販促費は大手の10分の1でスタート

 シェア獲得に向け、激しい競争が繰り広げられているヘアケア市場。各メーカー、“ノンシリコン”や“オーガニック”など様々な付加価値を訴求しながらプロモーションを行っている。そんな中、“ボタニカルライフスタイルブランド”という独自の世界観を築き急成長を遂げたのが、株式会社I-neが展開する「BOTANIST(ボタニスト)」だ。

 EC発でスタートしたBOTANISTは、InstagramをはじめとするSNSやネット上で話題になり、店舗での販路も拡大。昨年7月には、初のフラッグシップショップ「BOTANIST Tokyo」を表参道にオープンさせるなど、ヘアケアブランドの枠に止まらない展開を見せている。

 だが、BOTANISTをリリースした当時、株式会社I-neの社員数は50人程度。マーケティング専門の部署はなく、社長・幹部・ブランディング事業部・EC事業部を主体に全部署で連携し、マーケティング全般を行っていた。広告販促費も大手メーカーの10分の1以下でのスタートだったというから驚きだ。

(左)株式会社I-ne 代表取締役 BDマーケティング本部 今井新氏(右)同社 同部 横田
(左)株式会社I-ne 取締役 ブランディング本部長 今井新氏
(右)同社 ブランディング本部 コミュニケーション戦略部 SNS課 課長代理 横田邦亮氏

 一体どのようにして、BOTANISTの急成長は実現されたのか。株式会社I-ne 取締役 ブランディングマーケティング本部長 今井氏と同部署でSNSディレクターを務める横田氏が、MarkeZine Day 2018 Autumnで、その成長過程とデジタルを起点にしたマーケティング施策を紹介した。

市場動向と世の中のトレンドに基づいた商品戦略

 BOTANISTをリリースした2015年当時、ヘアケア市場は“ノンシリコン合戦”で飽和状態にあった。そのため店頭に並んでいるのは、アテンションを重視した派手なパッケージの商品が多かった。一方、EC市場には女性用ヘアケアブランドで優位なブランドはなく、これをチャンスと捉えた。

 また2015年は、ちょうどSNSの主流がInstagramへ移行し始めたタイミングでもある。こうした市場動向や世の中のトレンドを踏まえて、以下の商品戦略を打ち出した。

シンプルなデザインにし、パッケージデザインで他商品と差別化
品質にとことんこだわり、価格優位性の壁を超える
EC、デジタルを最大限駆使した、SNS時代の消費者に刺さるプロモーション
Instagramという新しいプラットフォームで映えるクリエイティブ表現
ノンシリコン以外の新しいカテゴリーの創出

 ちなみに、“ボタニカル”というキーワードは、アパレル業界からインスパイアされたものだ。海外では、“スローライフ思考”“ナチュラル思考”が一般化していたことにもインスピレーションを得たという。そして社内に、そういったライフスタイルを好むスタッフが多いことが、ブランド設計に強く影響した。

 市場動向とトレンドを抑えた商品戦略により誕生したBOTANISTは発売後、その年の楽天年間総合売上でランキング1位を獲得。今年は、オフラインのシェアで2、3位を獲得するなど、オフラインオンライン共に広く受け入れられている。また、中国で昨年対比約350%増、台湾でシェア3位など、海外での成長も著しい。

 今井氏は、発売当初の苦労を「発売当初は、無名な商品なので『売れるかわからない』と言われ、なかなか店頭に並べてもらえませんでした」と振り返る。だが、一部店舗で商品を販売すると、想像を超える売れ行きで一時欠品の状態になったそうだ。そうした情報がバイヤーの間に広まり、また営業部の一からの開拓もあり、オフラインでの販路も拡大していった。

 セッションの序盤でBOTANISTの軌跡を振り返った後、デジタルマーケティングの具体的な施策詳細の共有へ入った。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/10/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/29502

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