意思決定のスピードを高めるため体制を一新
「JapanTaxi」は、550万ダウンロードを超えるタクシー配車・決済アプリ。JapanTaxi社は、「移動で人を幸せに。」をミッションに、5つのプラットフォーム事業を展開している。「日経産業新聞」の2018年上期調達額ランキングでは1位を獲得するなど、今他社からの関心を寄せている企業でもある。
そんな同社だが、“ベンチャーあるある”的な悩みを抱えていたと、「JapanTaxi」アプリのマーケティングを担当する中川氏は言う。
実は、同社は1年前までエクセルによってマーケティング関連データの管理・更新を行っていた。関わる人員や事業規模から、それで間に合っていたのだという。しかし、事業規模が拡大し、グループの人員が1年で2人から8人へ増員。急速にメンバーが増えたことにより、エクセルによるデータ管理では「意思決定に時間がかかる」ことが課題となった。また、多方面への業務の広がりにより、個人のリソース不足という問題も見えてきた。
中川氏はこの課題を解決するため、データ統合の方法と組織体制を一新した。具体的な取り組みについては、「JapanTaxi」アプリのデータの活用法とあわせて説明された。
同社は、オフライン・オンライン広告の両方を使って、ユーザーにリーチしている。そこでまず、ユーザーがどのような流入経路から、「アプリをインストール」し、「サービスを利用している」のか、アプリ計測ツールの「adjust」を利用してトラッキングし、このデータを「Google BigQuery」に連携する。
そして、ここからさらに「Tableau」でデータを可視化。「Slack」に日々レポートを共有する。
可視化したデータを元に、実施した施策が良かったのか悪かったのか、予算配分、プランニングといったものに対する「意思決定」を行う。また「esa」という情報共有ツールを用い、施策の「結果や知見の蓄積」も行っていくという。
マーケターがスキルアップできる組織体制へ
同社では、データ活用のプロセスを「Analysis(分析)」「Judgement(意思決定)」「Accumulation(蓄積)」「Learning(学習)」に分けて行う。同社ではこれを「AJALプロセス」と呼んでいる。
「大事なのは、可能性がありそうな施策はどんどんトライすること。あとはAJALプロセスをひたすら繰り返します」(中川氏)
また組織体制は「機能×案件」のマトリクス型組織を採用。マーケター一人ひとりの強みを活かしつつ、他組織への理解も深める仕組みにし、知見やスキルの相互共有を目指している。
「JapanTaxiのマーケターには、様々な領域を学びたいという人材が多いです。そこで当社では、マトリクス型組織を採用するとともに、SQLの勉強会や、クエリの共有、メディアプランニングについての知見をシェアする場を設けるなど、スキルアップできる環境構築にも力を入れています」(中川氏)
今年7月にはQRコード決済が可能な広告タブレットの全国展開を開始するなど、デジタル戦略を推し進めるJapanTaxi。今後の成長に期待だ。