ウエディング業界が抱えるメディアマーケティングの課題
ウエディング業界のインターネットリーディングカンパニーであるウエディングパークは、結婚準備クチコミ情報サイト「Wedding Park」を中心に、現在5つのメディアを運営している。
メディア開発本部で自社メディアのプロモーションやサービスの設計、広報宣伝を担当する助川氏は、ウエディング業界におけるメディアマーケティングには、業界ならではの課題があると話す。
「結婚は、誰もがターゲットになりうる事業領域です。しかし、非日常的な行動であるため、式場探しに直面していないユーザーに接触しても自分ゴト化されにくく、忘却される可能性が高いという課題をもっています」
こうした背景の中、ウエディングパークではサービス認知と利用促進のため、「マス×デジタル」の動画施策を実施した。メインターゲットは、挙式予定・意向がある“プレ花嫁”と、既に結婚式を終えた“卒花嫁”と呼ばれる20~30代の女性。ターゲット層に人気のインスタグラマーを起用し、「結婚式は準備から楽しめる」をキーメッセージに、あえて結婚式当日の様子を入れない、式の準備にフォーカスした「縦長動画」を制作した。
制作した動画は、Facebook、Instagram、YouTubeというデジタルプラットフォームと合わせて、渋谷駅のデジタルサイネージ上で公開した。また、タレントをゲストに呼んだ記者発表会も実施し、その様子はテレビ、新聞などのマスメディアでも流れた。
動画視聴がCVRに貢献
施策実施後は、ブランド名キーワードの検索数が、前月比・前年比ともに120%以上増加した。またFacebook広告において、視聴者・非視聴者に分けた後追いダイレクト広告施策を実施したところ、動画視聴者の広告CTRが、非視聴者と比較して1.57倍、CVRは1.9倍になったという。この結果は、動画施策が態度変容に与える影響を明確に表していると言える。
「特殊な課題を持つ業界ですが、クリエイティブやチャネルなど全体設計を考えることでブランド名の検索数増加や態度変容に成功したひとつの事例と言えると思います。今後はITP(Intelligent Tracking Prevention)の影響も踏まえ、リターゲティング偏重から脱却。ターゲットへのアプローチの仕方、クリエイティブ、Webでの受け皿、利用促進のストーリーの見直しなどを行い、ブランドのファン化を推進していきたいです」と、助川氏は今後の展望を語り、セッションを締めくくった。