デジタル広告の新たな指標となる「タイムインビュー」
――アドベリフィケーションに関する関心が日本でも高まってきていますが、スコット氏から見たグローバルおよび日本におけるアドベリフィケーションの現状を聞かせてください。
IASは2012年から日本で活動していますが、2017年から今年にかけて、アドベリフィケーションに対する国内の注目や関心が集まってきていると、確かな手ごたえを感じています。
国内外での大きな相違点として、日本国内ではブランドセーフティ、つまりブランド毀損につながるコンテンツが出ていないかに注力されていますが、欧米ではそれ以上に、不正インプレッションやビューアビリティの問題に目が向いているという違いがあります。
特にビューアビリティに関しては、見られていない広告からの脱却を目指し、広告を見たかどうかの可視化、そしてその改善への関心が高まっています。
そうした流れを受け、我々が年2回発表している「メディアクオリティレポート(MQR)」では、2018年上半期分から新たな評価指標、“タイムインビュー(蓄積閲覧時間)”を加え、ビューアブルなインプレッションにおける閲覧時間の平均を見える化しました。
また調査では、日本のビューアビリティの数値がグローバルと比較して低いという結果も出ました。パブリッシャーの方々も国内の注目が高まっていない中で、ビューアビリティを上げることにまだフォーカスが向かっていないのでしょう。
日本でアドベリフィケーションの対応が遅れる理由
――ブランドセーフティへの関心が高い日本と、ビューアビリティの不正広告にまで目が向いている海外。この違いが生まれている要因はなんでしょうか。
まずビューアビリティの認知や必要性の浸透が大きな要因だと思います。ただそれ以上に、日本国内のマーケター、特にダイレクトレスポンスを目的に出稿している広告主の場合、CTRやラストクリックといった指標を重点的に見られている方がまだまだ多いことが挙げられます。
というのも、広告が見られているかどうかより、クリックが取れているかどうかに注力しているので、ビューアビリティへの関心が相対的に低くなってしまうのです。
――ちなみにグローバルでは、どういう指標を重視されているケースが多いのでしょうか。
もちろんクリックも元々は重視されていました。ただ最近ではクリックだけを重視するお客様は減りつつあります。
消費者のデジタルシフトが進むのにあわせ、広告主もデジタル広告の手法はもちろん、評価の仕方も変わってきています。先ほどお話しした「タイムインビュー」もそのアプローチの一部だと考えています。