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「広告を有益な情報に」アウトブレインが形成する最先端のディスカバリー・プラットフォーム(AD)

大量生産型マーケ時代の終了へ――元花王・現アウトブレインの本間氏が「広告の本質」を説く

 アウトブレイン ジャパンの5周年を記念した5本特別連載の第4弾。今回は、2018年より同社の顧問に就任した、元・花王のマーケター本間充氏にインタビューを行った。かねてより、コンテンツレコメンデーションに関心が高かったという本間氏。企業のマーケターとベンダー両方の視点から、Web広告業界全体の展望と、アウトブレインが提供する独自の価値について語っていただいた。

広告主とベンダーをつなぐ「通訳」のような存在に

――はじめに、本間さんがアウトブレインの顧問に就任された経緯をうかがえますか?

アウトブレイン ジャパン株式会社 顧問 本間充氏
アウトブレイン ジャパン株式会社 顧問 本間充氏

本間:みなさんご存知の通り、デジタルマーケティングの業界では、毎日のように各ベンダーから新しいネット広告やWebソリューションが登場し、アップデートを続けています。ですが、それらに関する情報を広告主側が追いきれていないというのが現状です。そこで、いちメーカーのマーケティングを担ってきた者として、情報を伝える通訳のような存在になりたいと思い、ベンダーであるアウトブレインに参画することを決めました。

――花王にいらっしゃった頃、アウトブレインのソリューションをどう見られていましたか?

本間:アウトブレインが日本に参入した頃から注目していましたし、コンテンツレコメンデーションの進化を見届けたいと思っていました。適切なキーワードの検索が求められる検索広告に対し、レコメンドウィジェット型の広告は、雑誌に近いもの。自分の好きなメディアの中で、興味のある広告コンテンツとの出会いを促せる広告です。

 もともと、広告にはこのような緩やかな偶然性がありました。アウトブレインをはじめとしたレコメンドウィジェット型広告は、そこに面白さがあり、市場としても伸びる余地しかないとワクワクしながら事業に携わっています。

「広告費」を再考しませんか

――顧問就任から約1年が経ちましたが、ベンダーの立場になってみて感じたことはありますか?

本間:改めて、ベンダーから広告主へ情報を伝えきれていなかったことを感じましたね。

 4~5年前のネット広告業界は、全体的に広告技術へ目が行き過ぎていました。たとえば、検索アルゴリズムの変化や新しいSNSへの対応方法など、技術を中心とした話題に関心が集まっていたことを、みなさんも覚えていらっしゃるかと思います。もちろん、技術を理解するのは良いことですが、広告で本来重要視されるべきなのは「誰に・どんなことを・どんな方法で届けるのか」です。

 そうして技術を優先してきたことで、Webメディアの収入源である広告の価格に入札の概念が取り入れられました。さらにこの結果として、マネタイズができているWebメディアが少ないという現状がある。そもそもマスを含め広告費には、メディアに対するスポンサーシップも込められています。しかし「Webの広告費=顧客獲得のコスト」という考え方が強いのも事実でしょう

 良質なプレミアムメディアには、その質を評価するユーザーやファンがいるものです。広告主がメディアの付加価値にも投資をしないと、良質なメディアは生まれませんし育ちません。広告費の効率化だけに集中すると、結果的にWeb広告は健全な成長ができなくなってしまうのではと懸念しています。

健全なメディアの読者だけが「自社の顧客」ですか?

――質の高い健全なメディアの成長は、広告主のブランドセーフティにも大きく関わってきますね。

本間:良質なメディアが増え、悪質なメディアが減っていけば、ブランドセーフティは自然に解決します。あわせて広告主が考えるべきことは「自社のブランドセーフティとはなにか」ということです。

 たとえば、自社のバナーがゴシップ情報をまとめたサイトに掲載されているとしたら、バナーの掲載は止めたほうがいいと考えますか? では止めた場合、そのサイトを閲覧している人は本当にお客様ではないのでしょうか?

 人間には、多様性があります。自社にとってお客様は、製品やサービスを使っている時だけなのか、それ以外の時間も含めてお客様と捉えるのか。そういった視点にまで掘り下げて、ブランドセーフティを議論することも必要でしょう。メディアの成長は、広告主にとって広告を出すために重要なのですから。

――これまでのお話にあったような考え方は、マーケターの中で出てきているのでしょうか?

本間:少しずつではありますが、広告の本質を捉え直す広告主も出てきました。アウトブレインでも「プレミアムなパブリッシャーのネットワークで、自社の情報を届けたい」というご相談が増えています。アウトブレインのエンジンは、情報を届けたいという広告主と、マネタイズをして良質なコンテンツを作りたいというメディアをつなぐエコシステムを創造することができると考えています。

大量生産型マーケティング時代は終了へ

――今後も、企業やメディアを取り巻く外部環境は変化し続けていきます。マーケティングには、これからどのような視点が必要になると考えていますか?

本間:Web広告が登場して約20年が経ち、マスを含め、様々なチャネルの広告と同じ立ち位置になりました。マーケターは、お客様がどこでどんな情報に接したいのか、何を知りたがっているのかにフォーカスして、Web広告・オフライン広告を統合し、最適なコミュニケーションを設計しなければなりません。

 昨今の状況を見ていると、明らかに、広告を安くたくさん見せる大量生産型のマーケティングではなくなってきています。お届けすべきお客様に、お客様が望む形で広告を届けることが求められている。品質も加味した広告の届け方が必要になるため、CPAのようなコスト軸ではない指標が出てくるでしょうね。

――効果指標が変わるということは、運用を担当する代理店とのコミュニケーションにも変化が生まれる。

本間:代理店とパートナーシップを組むということは、代理店のミステイクを許す覚悟をするということ。たとえば、アウトブレインの運用には、配信マネジメントを理解するための学習時間が必要です。初期段階で、代理店に明確な成果を求めるのは酷なことです。

 代理店へ運用を依頼しているからこそ、自分達は違うことに集中できるということを再認識してほしい。あわせて、代理店へ作業だけを依頼するのではなく、最終的なゴールを共有することも大切です。フラットなテーブルで関係者が話せる環境を作れるかが、広告主と代理店が良い関係を築くポイントだと思います。

レコメンドウィジェットの活用を本間氏が勧めるタイミング

――ここまで、広告業界を取り巻く環境の変化や心構えをうかがいました。では、そのような環境の中でアウトブレインが提供する価値について、教えて下さい。

本間:広告には様々な役割があります。その中でアウトブレインは、認知から一歩踏み込んだ、理解と興味を担うメッセージを届けるためのネットワークであると考えています。

 もちろん最大の価値は、ウィジェットで配信された広告からの集客ですが、興味に沿ったコンテンツの発見を促すプラットフォームとしての役割もあります。さらに、広告主側に長らくいた私から見ても、データの開示性と透明性は高いと思います。レポートの情報量も多いため、記事単位のクリックまで分析することもできるんです。

――実際に本間さんは広告主に対して、どのような用途での活用をお勧めしているのですか?

本間:アウトブレインをぜひ使っていただきたい、二つのタイミングがあります。

 まず一つ目は、特定のターゲットにしっかりリーチしたいとき。アウトブレインのアルゴリズムは性能が高く、クッキーベースで学習しユーザーを分析しているので、ターゲットの精度が優れています。たとえば、モバイルで見られそうなコンテンツだと判断すると、モバイルへの配信比率を自動で高めることができます。レポーティング機能が拡張され、他者の分析ツールとも連携できるようになったので、データを活用した運用の支援も進めていく予定です。

 次に二つ目は、プロモーションの設計段階からの活用です。ターゲットがまだはっきりしていない、訴求メッセージが複数ある時にこそ、レコメンドウィジェットを小さなWebサイトと捉えて、アウトブレインで仮説検証をしてほしい。

 たとえば、オウンドメディアを立ち上げるなら、サイト公開前にいくつかのコンテンツを公開し、1~2ヵ月ほどディスカバリー・ネットワークで配信してみる。すると、膨大なマーケティングデータが取得できるので、どのコンテンツに,どんな人が反応するのかを見ることができ、効率的にテストできます。

広告から「情報提供」へ。考え方を変える必要性

――なるほど。アウトブレインは、ユーザーと広告主の双方に、多様なディスカバリーを届けるプラットフォームなんですね。

本間:マーケティングの仮説検証に活用できること、その仮説に対し豊富なフィードバックが得られることは、アウトブレインの強みです。ぜひトライアルしていただき、私たちも一緒にデータ検証をできればと考えています。

 中には、新しい広告やソリューションの導入が難しい状況に置かれているマーケターもいらっしゃると思います。しかし、広告主はバラエティに富んだ広告ソリューションの中から最適なものを選ばなくてはならない時代です。

 決済権限のある上司に提案する際は「新しい広告ソリューションを用いて、集客や獲得以外の副次的効果、さらには新しいナレッジが得られるような実験を行いたい」とプレゼンしてみてはいかがでしょう。そのようなコミュニケーションであれば、上司は承認しやすいと思いますね。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

本間:AIスピーカーの登場もあり、私たちは広告という言葉の定義を変えたほうがいいかもしれませんなぜなら生活者は、自分に一番ふさわしい情報を一つだけ得るという行動をし始めているからです。

 これまでは、キーワード検索後のリストの中から、お客様が情報を選んでいました。しかし音声アシスタントは、お客様のデータを基に一つの情報を伝えます。これから広告主側では、お客様ごとに情報を書き換えるのか、状況別に複数用意するのかなどの議論が出てくるでしょう。

 アウトブレインは、まさに情報を提供する広告です。「広告」から「情報提供」へと考え方を切り替える入り口として、さらに将来のネットコミュニケーションを理解するという意味も含め、アウトブレインを活用していただきたいと思います。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/01/08 18:21 https://markezine.jp/article/detail/29906