キーワードは「コラボレーション」
同説明会では、アイ・エム・ジェイ 執行役員の山本氏が、アクセンチュアの調査レポート「CMOの役割の再考」について解説した。同レポートは、米国やカナダなど4ヵ国のマーケティング上級役職者に対するオンライン調査や電話インタビューを基に作成。CMOが担うべき役割について、具体的に検討されたものだ。
同レポートによると、昨今マーケティングへの期待は広がりを見せている。よい製品を作り、ブランドの認知度を上げれば売り上げが伸びたのは昔の話であり、現在は複数チャネルでのプロモーションや購入後のカスタマーサービスを含め、あらゆる顧客接点において一貫した体験が求められるようになった。
こうした状況に呼応して、CMOが担う職域にも変化が生じている。従来のCMOは、広告や広報の領域をを主に担っており、チャネルやキャンペーン単位で断絶的に個別成果を計測する場合が多かった。
これに対し、同レポートでは、新たなCMOの理想像を「コラボレーション主導型」と定める。従来型との大きな違いは、ブランドのビジョンに合わせた組織全体の連携や、顧客体験の実現に向けた調整を担うという点だ。
「CFOがファイナンスという軸で企業を横断して組織変革にあたるように、CMOは顧客のインサイト、顧客体験という軸で、企業全体をアップデートしていく必要があるのです」(山本氏)
同レポートの調査において、コラボレーション主導型のマーケターが存在する組織は、そうでない組織と比べて優位性をもつことが明らかになっている。「自社の顧客体験戦略を社員まで浸透させ社員のエンゲージメントを高めることが大切だ」「社内の部門を横断して連携するのが重要だ」と答えたマーケターを、「コラボレーション主導型マーケター」と定義し、自社の顧客体験について尋ねたところ「競合よりも勝っている」と答えたマーケターが、従来型に比べて27%多かった。コラボレーションによって、各部門のセクショナリズムを超えて、アジャイルチームやプロジェクト単位で動ける体制を構築し、顧客視点でマーケティングオペレーションを実行できていることが読み取れる。
コラボレーション主導型CMOの役割とは
山本氏は次に、コラボレーション主導型CMOの役割を整理した。まずはCEOやCFOといった「Cクラス」に、顧客インサイトを正確に知ってもらえる状況を作り出すことが重要だ。その上で、顧客インサイトに基づき全社の事業をチェックし、価値の高い顧客体験を実現する企業にアップデートしていく。その際には、ニーズに合わせたテクノロジーを用意できるよう、社内外のリソースを活用していくことが欠かせない。
同レポートからは、広告・宣伝に留まらず、会社の全体にコミットできる人物がCMOとして求められていることが浮かび上がった。山本氏は「ブランドが顧客に最高の体験を与えるためには、組織や従業員、その先にいる顧客、顧客が使うシステムといった全体をプランニングする必要があるのではないでしょうか」と、コラボレーション主導型CMOの重要性を強調した。