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第106号(2024年10月号)
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「小霜さん、質問してもいいですか?」

広告クリエイティブディレクター小霜和也のお悩み相談室「Webとマスのクリエイターが分かり合うには?」

 MarkeZine読者会と称して開催した「小霜和也氏によるWeb×マス統合セミナー(相談会)」。会では小霜さんが、事前に参加者の皆さんにお送りいただいた質問相談に答えて下さいました。この連載では、その内容をほぼ実録でお送りしています。本稿は、「小霜さん、質問してもいいですか?」の質疑応答編です。

【ここまでの流れ】

1.「今後の理想の広告の在り方って?」
2.「マスとWebの最適配分問題に対する打開策」
3.「いずれ、テレビとWebの同時配信が始まる」
4.「クリエイティブって、そんな簡単じゃない」

Webとマスのクリエイターが分かり合うには

【質問1】
今の大御所クリエイターは、One to Allの成功者が多いというお話をされていました。僕は比較的One to Oneの仕事が多いのですが、社内のOne to Allのクリエイターに仕事を頼むと、思考がやっぱりOne to Allのことが多くて。そこで意見がぶつかるというか、かみ合わないことが多くあります。それは自分で話し合えという問題かもしれないんですけど、いい歩み寄り方のアドバイスとかをいただけたらいいなと思いました。

小霜:僕、プレイステーションの企画をやっていたんですけど、社会現象になったじゃないですか、プレイステーションって。で、僕がね、一番最初に書いたのが「すべてのゲームはここに集まる」ってコピーだったんですけど。

 そうするとね、エロDVD屋とかで「すべてのエロはここに集まる」とかね、あったりして。「うわ~、広がってるなぁ(笑)」って感じたりして。

 で、あれを味わうとOne to Oneの世界ってなかなか。「お父さんどんなCM作っているの?」と聞かれて、「○○だよ」って答えても、的確にターゲットに届けてると、「ふーん」ってなるじゃないですか。テレビCMやってると、子供とかも見るじゃないですか。子供とか全然ターゲットじゃないCM見て、面白いとか言われると嬉しいわけです。そういうやつらにまで広がっているのかって。

 で、そういう人にOne to Oneをやれって言うのは、大きなコンサート会場でやっていた人に、明日からライブハウスを毎日回れと言っているようなもので。ちょっと都落ち感というかね、そういうのがあるんですよね。

 そこのところの感情論的な問題があるのでね、多分話し合っても、これまでの成功体験を味わってきた人ってなかなかかみ合わないと思うんですよ。

 で、どうするかというと、僕はもうお金じゃないかなと思う。「全体予算これだけなんで、コンテンツ絞ってこうするしかないんです」と言うことなんじゃないかなって。

 One to Allの成功体験をしてきた人に、若い人はモノを言いにくいっていうのもあると思うんですよね。今回、冒頭のほうで、僕が本編集の場で編集を増やしたと言いましたが。逆に、もしそこに運用をやっている若い人がいたとして。

 「いや、小霜さん、この場でTrueView用の編集追加できないですかね」って言われて、「そんなこと言われても、できないものはできない。これとは別に仮編からやればいいじゃないか」って言ったら、それ以上は言えない。それ以上言うと、クリエイティブディレクターに盾突くっていう話になっちゃうから、沈黙しちゃうってことがわりかし起きていると思うんです。

 そういう盾突く構造にしないためには、俯瞰で見る。若い人がモノ言えないんだったら、金でモノ言わすのがいいんじゃないかなって僕は思うんですけどね。

 で、僕いつも思うんですけど、デジタル化って効率化じゃないですか。コミュニケーション予算を効率化してROI高めようってことですよね。なのに、現状はむちゃ非効率だと思うんですよ。

 「テレビにお金使っちゃいました、Webに使えるお金はあと100万です」と。「でもこれ1,000万ないとなあ」って言ったら、900万誰が泣くか、みたいなね。そんなことに頭を使うのがもったいないし。

 誰かが泣いているっていうのを効率化したって間違えていることもあると思うんですよ。だから、本当の意味でデジタル化を効率的にするためには、「誰かが丸っと全部いっぺんにやる」という話じゃないかなって思います。

態度変容を起こすために必要なデータ

【質問2】
興味を引くことと行動の変容、つまり「買いたい」と思うことには、どういう違いがあると思われますか?

小霜:平たく言うと、心理変容というのは興味を持つことなんですよね。「こんな商品は自分には縁がないわ」って思っていたけど、「意外と縁あるかも」みたいに、商品を見直すのが心理変容だと思うんですよ。で、これをどこでやるかというと、ファネル構造でいえばトップファネルの認知フェーズだったり、ミドルファネルでしょうね。

 態度変容は、もう「買う」ってことですよね。あるいは、とりあえず、商品情報を見に行くとか何かをするというのが態度変容だと思うんですけど。じゃあ、態度変容を起こすためにどういうことをするかっていうと、たとえばリタゲで「今なら10%オフ」とか「今ならキャッシュバック」とかね。そういうのがあるとCVが上がるはずで。

 心理変容のあとで、オファーして態度変容を促すということだと思います。態度変容については、たとえば、僕この夏にYahoo!検索のWebキャンペーンをやらしてもらったんですよ。Yahoo!検索ってけっこう進化していて、「雨雲」って検索したら雨雲レーダーが出るんですよね。つまり、グーグルで検索したら「雨雲とは」というウィキペディアが出てきたりするんですよ。そうじゃなくて、ヤフーは「渋滞情報」って検索したら、渋滞情報のマップを出してくれたりね、そういうものを認知させようということをしたんですけど。

 じゃあ、使わせるためにどうするかというと、認知は行楽シーズンの手前からやって、行楽シーズンの時にリタゲバナーをまくっていうことなんですけれど。

 ただ、もはや天気最高のドピカーンの時に雨雲レーダーの広告が出てきても、そこで使おうとはならないでしょ。

 もしね、たとえば、天気のデータと連動していて「今日は一雨来そうだぞ」とか、「雲行きが怪しいぞ」ってなって、雨雲レーダーのバナーがポーンとくると、「ちょっとじゃあ使おうかな」ってなるかもしれませんよね。

 態度変容をさせるためのスイッチの入れ方でいうと、今まではオファーなんかだったですけど、これからはタイミングとかね、他のデータみたいなものがそこに入ってくるのかなと思っています。

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MarkeZine(マーケジン)
2019/02/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30227

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