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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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マーケティング手法としてのエバンジェリスト その役割と価値

【コネクト帳で成果を可視化】個人起点の情報発信で大切なゴール設定と組織での在り方

「仮説」を立てることを前提に行動する

 繰り返しになりますが、私が最も注意しているポイントは、「組織にとって何が価値か?」を考えることです。ここで言っている「価値」とは、人によって「課題解決」を指していたり、「新しい情報提供」を意味していたりと、状況によって異なります。「常に組織にとって何が価値か?」を考えるには、まずは各部門の立場になり「仮説」を立てることを前提に行動してみるといいと思います。これは、基本的には定期的なヒアリングや提案を怠らずに繰り返していけば、ある程度身につけることができます。

 やり方としては、各部門の関係者と定期的なヒアリングの機会を設けつつ、その中で類推したり仮説を立てて、「〇〇のような課題があると思うが、どうですか?」などと質問してみるのもいいでしょう。時には顕在化していない課題を発見し、提案することも重要です。ここでのやりがちな失敗例は、「何か困っていることはありますか?」といったざっくりとした質問をしてしまうことです。

 そうならないためには、日頃から社外の有識者やブロガーといったインフルエンサー、経営者、ベンチャーキャピタル、そしてサービスを愛用してくださるユーザーの方々といった様々なステークホルダーと接点を持ち、実際にお会いしておくことです。

 自社を応援してくれたり、トレンドの予兆を聞き出したり、彼らの求めている情報を探りだし、「社内のネタづくりにどう生かせるか?」「自社サービスとの関連性はあるのか?」という半歩先を予測して社内にフィードバックすることができれば、コネクタとしての価値が生まれてきます。

コネクト帳を使って貢献度を確かめる

 コネクタとして講演やインタビューを受ける際に、必ず聞かれる質問の一つに、「KPIはどのように設定していますか?」というのがあります。実は、Sansanでは定量目標は定めていません。その代わりに、「コネクト帳」というリストを作成し、コネクト(社内へ外部人材や情報を紹介すること)件数を記録して、一定の指標としていました。他にも、参考情報として、メディア露出件数、登壇回数、受注件数、年間の名刺交換数なども記録しています。

 Sansanでは、期末に各部門長へ「コネクト帳」を元に実際の貢献度の確かめ作業を行います。具体的には人事部門から各部門長に「あなたの部門に○件のコネクトが行われたが、部門に貢献しているか?」と質問し、フィードバックをもらいます。こうした振り返りを行うことで、紹介件数が多いにも関わらず受注につながっていない場合は「事後フォローをより丁寧に行う必要がありそうだ」とか、「想定していなかったパスが、実は大きな成果につながったので、来期は定期的にお願いしたい」など、次期の施策を立てる際の参考にします。

 この際、定量的な指標を記録しておくことは必要ですが、ポイントは「どの部門の、誰に、どんな目的で、誰(どんな情報)をつないだか」、「その結果どんな成果につながったのか」を他の人にもわかる形で見える化しておくことです。

 組織で働く以上は、ある一定の評価が与えられることは当然のことです。しかし、「コネクタ」にとって大切なのは、数字的な目標が最優先なのではなく、人とつながることの「意味(目的)」をはっきりさせることではないかと考えています。たとえ目に見える成果がすぐに現れなくても、自社にとって、その時々に必要なつながりというものを洗い出し、社内外の人間を適切につなげることで、想定以上の効果を得る可能性を導き出すことがあります。そのためには、闇雲に人脈を広げたり、名刺の数を増やすようなことは逆効果となるので注意が必要です。

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各部門の目標/課題の把握が大切

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この記事の著者

日比谷 尚武(ヒビヤ ナオタケ)

学生時代より、フリーランスとしてWebサイト構築・ストリーミングイベント等の企画運営に携わる。その後、NTTグループにてICカード・電子マネー・システム開発等のプロジェクトに従事。2003年、株式会社KBMJに入社。取締役として、開発マネジメント・営業・企画等を担う。
2009年より、Sansan株式会社に参画し、マ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/02/19 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30233

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