群雄割拠と言われるスマートフォンゲームアプリ業界で、アプリを長く運営するのは容易なことではない。そんな中で、ローンチから5年を経過した今もユーザーから絶大な人気を集めるのがミクシィ社XFLAGの「モンスターストライク」だ。世界累計利用者数は4,900万人(2018年12月30日時点)を突破し、近年ではオリジナルアニメ・映画、グッズの制作、常設店舗のオープン、他作品とのタイアップなど、IP活用を進めている。本稿では、どのようにして同タイトルがここまでの成長を遂げたのか、同社のマーケティング本部長 根本悠子氏に話を伺った。
※本記事は、2019年2月25日刊行の定期誌『MarkeZine』38号に掲載したものです。
バイラルする要素をサービスの中に

株式会社ミクシィ 執行役員 マーケティング本部長 根本悠子(ねもと・ゆうこ)氏
広告制作会社、NHNJapan(現・LINE)などを経て、2007年5月ミクシィに入社。FindJob!でコンテンツ企画・プロモーションに従事。2008年8月SNSmixiのプロモーショングループに異動。以降SNSmixiのユーザーコミュニケーションを中心にプロモーションに携わる。その後、リテンションに関わるユニットのプロダクトオーナーを経て、2014年4月育休より復職しモンスターストライクのマーケティングを担当。2017年5月モンスト事業本部マーケティング部部長就任。モンスターストライクに関わるマーケティング全般を統括。2018年4月、当社執行役員マーケティング領域担当、マーケティング本部長。
――「モンスターストライク(以下、モンスト)」は今や日本有数のゲームアプリとなっています。アプリマーケティングの視点で、これまでどのようなことを意識していましたか。
モンストは2018年10月でローンチから5周年を迎えました。おかげさまで常に売上ランキングの上位と高いMAU(月間アクティブユーザー)を保持できていますが、実はローンチ初期から多額の予算をかけたプロモーションは行っていませんでした。
モンストで提供したい本質的な価値は「みんなで集まって楽しむ」という、当時のスマホアプリゲームにはなかった価値です。そのため、先行しているゲームとはまったく違うグロースのさせ方が必要で、ゲーム業界では一般的なブースト広告(リワード広告などを使いアプリストアのランキングを急上昇させること)などは徹底して行いませんでした(Web出稿除く)。
ローンチから半年くらいの間は、友人同士など身近な人たちで行われるマルチプレイや友人招待機能の利用数を追っていて、モンストの話題が広がっていくことを注視していました。ダウンロード数がある程度伸びてきた段階で、大衆化に向けた広告展開を行いました。
――そうだったんですね。御社はテレビCMも積極的に出稿しているイメージなのですが、最初に出稿したのはいつですか。
2014年3月が最初です。アーリーアダプターとなる方がモンストの本質的価値をわかった段階で、マス広告で多くの人にリーチすることで、広告に接触した人とアーリーアダプターがコミュニケーションをする機会の創出を狙っていました。「モンストって知ってる?」など数珠つなぎにバイラルしていくような設計をしていたのが初期段階の広告ですね。その当時、マーケティングの責任者だった田村(現ライブエクスペリエンス領域執行役員)の狙いはチャレンジングだったと思います。
またテレビCMのクリエイティブで常に意識していたのは、ゲームを遊んだ先の価値を伝えることです。
その当時出稿されていた競合のテレビCMは、ゲーム性や世界観、キャラクターの美しさなどを訴求するものがほとんどでした。私たちはそうした既定路線とは違い、みんなで遊ぶことによる楽しさを訴求することに特化しました。「みんなでモンスト」のメッセージが強く頭に残ることだけを考えました。
そこには、ミクシィがゲーム会社ではなくコミュニケーション創出企業であり、コミュニケーションの場を生み出すための出口がゲームであったという背景もあります。
――ゲームによって生まれるコミュニケーションのすばらしさを伝えようとしていたのですね。
親子、友人同士、恋人同士でもいいのですが、身近な人との関係がモンストというゲームによって親密になったり、楽しくなったりすればいいなと思うんです。その価値を感じてもらえる人が増えてこそユーザー増加と言えると思うので、ダウンロード数などの数値の積み上げだけにとらわれないようにしています。
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畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)
フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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