TikTokの特性を活かした「ユーザーが楽しめる」クリエイティブ
MZ:TikTokの特性を活かした「ユーザーが楽しめるクリエイティブ」とはどのようなものなのでしょうか?
伊藤:たとえば、TikTokはタップすると動画を停止できる機能があるのですが、それを応用して「スロット形式」の広告を作りました。強敵であるヤマトタケルに対抗するパーティをスロットで決定するというものです。
伊藤:コメント欄には完成したチームに関するものが多く挙がりました。中には、コメントを残すだけでなく、「実際にスロットで出た編成でヤマトタケルに挑んでみた」という企画を実行し、TwitterやYouTubeに投稿されている方もいました。こちらはモンストの既存ユーザーに響くクリエイティブを意識したので、狙い通りだったなと。
また、モンストはキャラクターがフィールドの中を縦横無尽に動き回る点が特徴です。そこで、広告上でも複数のキャラクターが動き回っている状態を再現し、「すべてのキャラクターが画面内に収まったタイミングで停止させる」というルールを設定したクリエイティブも作りました。
MZ:「タップしたら止まる」というTikTokならではの機能を活かし、広告にゲーム性を持たせたのですね。
伊藤:そのとおりです。しかも、これが意外と難易度が高くて……(笑)全然成功しないんですよ。成功させるために何度も挑戦してくださったり、逆にあまりに成功しないので「画面内に一匹もキャラクターが表示されていない状態を目指す」という独自のルールを作るユーザーがいたり、想定外のアクションも起きていました。
広告に付いたユーザーのコメントを参考に次のクリエイティブを作成していたので、あらゆる意味でインタラクティブな広告配信になっていたと思います。
TikTok広告は「いかにユーザーの感情の動きを狙えるか」が重要
MZ:高いエンゲージメント数を獲得できた一番の要因は、やはりユーザーとのコミュニケーションを重視した点にあるのでしょうか。
渡邉:そうだと思います。私達は広告出稿前に、各プラットフォームのUIやユーザー行動を分析してTikTok上での戦い方を考えました。その結果、いかにユーザーの感情の動きを意識できるか、という点を重視するべきだと判断しました。
TikTokのようにコミュニケーションが生まれやすいプラットフォームの場合、単純に私たちが見せたい広告を出してもユーザーには響きませんし、広告色が強すぎるとヘイトが生まれてしまう可能性もあります。
MZ:ユーザーとのコミュニケーションを重視し、CPAではなくエンゲージメント数を主要KPIに設定するにあたり、社内から反対するような声は上がらなかったのでしょうか。
渡邉:特にありませんでしたね。当社は「ユーザーサプライズファースト」を理念に掲げており、ユーザーの想像や期待を超える価値を提供することを大切にしています。広告でも既視感のないユニークな施策を打って、ユーザーを驚かせようという考え方がベースにあるので、今回のTikTokのような新たな試みはむしろ歓迎されました。
ただ、もちろんCPAもまったく追っていなかったわけではありません。今回のプロモーションでは一定のCPA以下での獲得は大前提としつつ、エンゲージメント数を最大化させる事をミッションとしています。結果、エンゲージメントのついた広告はTikTokだけでなくTwitterやYouTubeでも拡散され、多くのユーザーに接触できました。広告がユーザー同士のコミュニケーションを生み出している、という結果にとても満足しています。