アクションにつながるデータ収集が重要
葦原氏はさらに、より多様なデータとの連携にも意欲を見せた。
「データの収集という観点では、セカンダリーマーケット(2次市場)も重要な要素になってくると考えています。NBAへ視察に行った際に印象的だったのが、NBAではたとえ採算が合わなくてもデータを取得できる施策であれば実行するという考えが根付いていたことです。セカンダリーマーケットに関しても、1枚のプラチナチケットに対して買いたい人が10人いれば、10人分のデータが得られるから行っているわけです。その観点は非常に勉強になりました」(葦原氏)
また、スポーツ界におけるデータベースの課題として、購買者データだけを見ても物事の本質に当たらないことが多いと指摘。スポーツの場合、チケット購入者が急遽試合に行けなくなり、チケットが他の人の手に渡ることが頻繁に起こるという。コアファンがライトファンを連れてくるケースが多いため、一度観戦した顧客の購買回数をどのくらい増やせるかを重要なKPIとして捉えていると述べた。
これに対して笹田氏も、「Jリーグも初観戦の7割ほどの人が誘われて来場しているとのデータが出ています。通常、招待券を起点にした際の着券率(発券した数に対する来場者の割合)は5割程度なのですが、招待で誘われて来た人の着券率は約8割です。誰かに誘われてくると高確率で足を運んでくださいます。このデータに着目して、デジタルならではのアプローチができると思います」と語った。
スポーツ界はやりがいのある市場
スポーツ界でのデジタルトランスフォーメーションを進めるJリーグとBリーグ。では、今後スポーツ界におけるデータ活用をさらに加速させていくためには何が必要となるのだろうか。笹田氏、葦原氏がともに語ったのは、データ活用を進める「人材」の存在だ。
「2019年は貯まったデータを活用してマネタイズまで行い、限界値がどこにあるかを探ってみたいと思っています。これにともなって、デジタル戦略をスタートさせた当初のフェーズとは違い、今後はますますデータ活用を進めていく人やパートナーを確保していかなければいけないと思っています」(笹田氏)
「Jリーグがこれだけ変わったのは、笹田さんのような人材(笹田氏は前職がニフティ)がジョインしたことが大きいと思います。結局そういったスキルのある人材がいることとデータの蓄積は今後非常に大切になってくると思います。逆に言えば、活用できる人材がいなければ、データが何となく貯まっていくだけという状況になってしまいますね」(葦原氏)
最後に、「スポーツ界は提供するサービスがスポーツであり、市場もファンが対象となるので熱狂が生まれやすいという特徴を持っています。そのため、マーケターの方々にとってもやりがいのある業界だと思います」と平地氏よりメッセージが送られた。そして、笹田氏、葦原氏も以下のように述べ、セッションを締めくくった。
「スポーツ界はお客様であるファンとのエンゲージメントが非常に高いです。メールの開封率も、一般企業のものと比較して平均で40~50%と高いです。施策を行ったときの反応が良く、マーケターの方々からしても伸びしろを感じられる市場ではないでしょうか」(笹田氏)
「スポーツビジネスは華やかで規模も大きいというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。ですが、実態は人手が足りずオペレーションを回すのも苦労している状況が多々あります。
スポーツ界はどこか遠く、取っつきにくいと思う方もいらっしゃるかと思いますが、実はシンプルなビジネスモデル。気になるクラブなどあれば、ぜひドアをノックしてもらいたいです」(葦原氏)